へそ
高山支部法座で、松尾芭蕉の臍の緒の句を取り上げた。
法話が終わったら、突然、Hさんが、「先日、伊賀上野に旅をして、芭蕉ゆかりの『へそ』というお菓子を見つけて不思議な名前だなと思ってたんです。いまの臍の緒の句が由来なんでしょうか」と。
翌日、法座が終わってから、Hさんに宅に、ご挨拶を兼ねて、子供たちと窺う。今は、渋谷の東急本店での個展(木彫展)の準備中で、さまざまな美術品といっていい作品が、所狭しと並べられていた。仕事場にもお邪魔して、作業も見せてもらう。
お茶をいただいたら、さっそく『へそ』というお菓子がでてきた。袋をよく見ると、
「古里や 臍の緒に泣く 年の暮れ」
芭蕉44歳。亡くなった母親の法事で、伊賀上野に帰郷された時に作られた句だという。母親と自分とを繋げてい干からびた臍の緒に、母親の広大なご恩徳のすべてを感じられて、追慕されたのであろう。
この故事を教えてくださったのは、羽栗行道師の『心身の革命』だった。Hさんが、仏法と出会ったのは、この羽栗行道師のお弟子さんの先生だというのだから、これもまた浅からぬご因縁。
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