『思い出のマーニー』
今夜は、宇治川花火大会を楽しみにしていたが、台風の影響で、中止になった。雨は降っていないが、大雨後の宇治川の増水を心配してのことだ。昨年の福知山花火大会の大事故のことを、主催者は考えたのだろう。
家でおとなしくしていてもよかったが、家族で映画に行くことにした。子供たちの希望は3つ。二人は『るろうに剣心』と、特に下の子が、ディズニー映画『マレフィセント』、上の子は『思い出のマーニー』を強く勧めた。話し合いの結果、ジブリの『思い出のマーニー』』になった。この時期、夏休みのシネコンは、他にもドラえもんとか、ゴジラなどのファミリー向や娯楽作ばかりである。
で、ほくは映画館では、初のジブリ映画である。
宮崎駿も、高畑勲もかかわっていないが、ある意味で地味なストーリーだか、これがよく出来ていて、感激した。 主人公は、幼少期のある出来事から、心に傷を追って、自己の存在を否定し、嫌っている女子中学生という設定。同じ中学生の上の子に完全に共感したらしく、涙を流して、感激していた。 ぼくも、いつ「お母さん!」と言うのだろうかと待っていると、なるほど、ここですか。子供ならずとも、親の立場としても、父親だって涙ぐむのでした。
物語は、ある意味、特別な生育環境にある話だが、もしそうでなくても、子供から大人へと向かう思春期においては、誰もが通る葛藤のプロセスである。ほんうとに自分自身で自分をを受け入れていくこと。さらに、母子関係においても、真の親子となっていくプロセスほど、難しいものはない。実は、真に私自身を受け入れてくれる他者に出会った時にのみ、受け入れ難い自分を、自己受容出来る核が出来上がるのではないか。
ただし、ほんとうは、これだけ大きな傷を乗り越えるには、少々、プロセロが性急すぎる感もした。行きつ戻りつの葛藤経験などが描かれていると、さらによかったと思う。そうなると、映画としてはスッキリとしなくなるが、ほんとうはそこが大事だと思った。受容することは、一見、それでスッキリ完結するように思えて、行きつ戻りつすることで、それとの付き合い方を学ぶことであり、そのプロセスが、実は人を成長させると思うからだ。
でも、詩的で、静的な丁寧な映像もとても美くて、成長期の子供と観るにはお勧めです。
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