7月の聖典講座(2)五徳瑞現
釈尊を五つの尊称で褒め讃えておられる。
1、世尊(せそん)─世を超えて、もっとも尊いお方。
2、世雄(せおう)─煩悩という悪の心の働きを制した雄者。
3、世眼(せげん)─肉眼・天眼・法眼・慧眼・仏眼が、円かに備わって、迷いの世界、黒闇を
照らす眼を持ったお方。
4、世英(せよう)─世に秀でた、菩提の智慧すぐれたお方。
5、天尊(てんそん)-天人にも尊ばれ高く仰がれるお方。 の五つである。4
そして、その様子は、
1、奇特の法─身の表面に現れたすぐれたお徳、奇瑞。(身徳)に住したてまつり、
2、仏の所住─心が安定し静かな境地。普等三昧。(心徳)に住したてまつり、
3、導師の行─衆生を真実の世界へ導く師としての働き。(利他の徳)に住したてまつり、
4、最勝の道─最も勝れた智慧を備えている。(自利の徳)に住したてまつり、
5、如来の徳─すべての働きが、自利利他の円満した仏徳。(自利利他円満の徳)を行じたてまつっておられたのである。
『大経』の異本である『如来会』との関係では、古来から種々の分類されている。分け方はそれぞれあっても、結局、『如来会』の二徳に収まる点では一致している。たとえば、柏原祐義師によると、
1、住「奇特法」-身徳- 相 (『如来会』の二徳)
2、住「仏所住」-心徳- 体 入大寂定
3、住「導師行」-利他徳- 別
4、住「最勝道」-自利徳-用 行如来行
5、行「如来徳」-自利利他円満徳 総
(体…本質、本体。相…すがた。用…はたらき(本徳から出た三つの働き) となる。
悦びに満ち、清らかで、光輝くお姿を示されていたのは、「住仏所住」=「大寂定に入」っておられた。つまり、この時の釈尊は、過去・未来・現在の諸仏と「仏仏想念」=互いに相念じる定の世界にある(普等三昧)。そして、その諸仏方の根本は、阿弥陀如来であるので、弥陀三昧の境地-釈尊は弥陀如来を念じ、同時に弥陀如来も釈尊を念じて、二尊が分かつことができない境地(お姿も)での『大経』のご説法と窺えるのである。つまりは、『大経』は、お釈迦様の口をかりた、阿弥陀様の直説法だというのである。
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