『二郎は鮨の夢を見る』
久しぶりに『二郎は鮨の夢を見る』 のことを思い出した。(写真はチラシとパンフ)
オバマ大統領と安倍総理が、銀座の「すきやばし二郎」という三つ星の寿司屋で非公式夕食会を話題が繰り返し伝えられた。もちろんぼくはお店とは無縁だが、映画を見たとき、カウンター十席ほどの小さなお店で、トイレも共同だということだった。ということは、このお店だけはなく、地下のフロアー全体を貸し切っているのかもしれない。それに、予約がとりづらくお店で、早くから予約が入っているのだから、すでに予約済の客もキャンセルしたはずで、もしそうなら、そんな保証も含めると、料理の対価以上に、ずいぶん税金の無駄遣いはしていないのだろうかということだ。もちろん、すべて想像のことばてありますが。
なんでもオバマさんも、この映画を見たのではないかという報道もあった。ぼくには、たぶん一生ご縁のないお店かもしれないけど、昨年の2月に観たこの映画は面白かった。アメリカ青年監督の作品だか、メトロポリタン・オペラの総裁の息子で、この高級店に魅了されることになる。しかし、単なるボンボンの道楽ではなくて、ほんとうに愛情と熱意が伝わってくる映像だ。1シーンのために何度もアメリカから撮影に訪れているし、二郎氏の里帰りなどにも密着しているほどだ。
おかげで、単なる鮨文化を伝えるというだけでなく、店主の小野二郎の人間性や哲学に迫り、さらには、偉大な父をもつ、息子たち(長男、次男)という、父と子の物語に昇華されている(もしかすると監督自身の投影かもしれない)ところが、断然、面白かった。ふたりの息子さんも、たんへんですわー。1年以上前に観ているので、細かな表現は忘れたが、二郎さんが、いまの親が就職した子どもに対して、「嫌なことや苦しいことがあったら、すぐに辞めて帰ってこい」などと甘い、馬鹿な親が増えている、といった苦言を呈していたのが、印象的だった。表現をする人の重みで、実感させられる言葉だった。
お店にご縁のない庶民にもおすすめ。
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