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『オール・オブ・ロスト』 

  「オール・オブ・ロスト」 を予告編も、事前情報(画期的で面白い程度)も持たずに観Photo た。たぶんに実験的な要素もあるのかもしれないが、ロバート・レッドフォードの1人芝居で始まり、そして終わる。サバイバル映画の原点ともいうべき作品だけれども、冒頭のモノローグ以外、セリフらしいセリフもない。せいぜい、「クソッー」とか「オーイ」とかいった程度ものなのに、まったく飽きることはない。一人乗りヨットが、漂流物とぶつかり、通信手段もたたれたなかでの海上での絶望的状況。場面は大海原の真ん中と広大なのに、究極の密室劇である。

 今年は、同じよう状況の映画をみた。「ゼロ・グラビティ」である。無重力(重力というか)という意味が深みを見せる面白い映画だったが、こちらも、究極の広大な空間(大宇宙)の真ん中での一人芝居の密室劇ではあったが、部分的に、サンドラ・ブロックとジョージ・クルーニーの二人芝居となっていた。状況的には、宇宙の方が究極に広大で、また孤独も極めつけだ。

 一方こちらも絶望的状況には変わりはない。しかし万が一、他の船に出会うことが、稀の中の稀だが、助かる可能性が皆無とはいいきれないので、その可能性を信じて、やるべき手段を冷静に、あきらめないで、最後まで実行し続けていく姿がなんとも立派。

  一人芝居で、これだけ男の素性や状況もわからないまま、長時間魅せる、ロバート・レッドフォードもさすが。本来なら、この男にどんな家族があり、過去がありといった、家族や昔の回想シーンなどが挿入されることで、より感情移入ししやすいが、一切、過去のシーンもカットバックされることなく、ただただ、いま危機的な状況に身を置き、次々おこる難題にひとりで立ち向かっていくだけのストーリーなのだけれども、いつのまにか、彼が自分自身のことのように思えてきたりして、ドキドキ感が面白かった。

  何よりも海上や海中シーンが美しい。深く静かな蒼い海、美しいですね。 

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