4月から新年度を迎える、華光会の聖典講座。 これまでの料金体系も見直して、仕切りなおして、新シリーズを迎える。今回は、もともと(40年以上前)の原点に戻って、『浄土三部経』を輪読することにした。
本願寺出版社の現代語版『浄土三部経』をテキトスに、お聖教に親しんでいただき、浄土のおこころを味わっていきたい。経典というと、漢文で、訳がわからないもので、難解だと敬遠されがちだが、現代語を通じて味わえば、決して、私と無関係な、遠いおとぎ話ではないのだと、少しでも興味を持つてもらいたいし、さらに気楽に、書き下し文や原典へとあたってもらえるようになればと願っている。
今回は、初回なので、まず全体、三部経の概観を述べた。
この『浄土三部経』を明確に選んでくださったのは、法然聖人である。もちろん、七高僧方も、浄土の三部経を重要視されてはおられたが、このような形で、はっきりと選定くださるのは、法然さまを待たねばならない。しかも、この「三経一論」は、寓宗だった浄土の教えを、「浄土宗」として一宗を起こされるための、いわば独立宣言に必要だっただ。
「初めに正しく往生浄土を明かす教というは、いわく三経一論これなり。「三経」とは、一には『無量寿経』、二には『観無量寿経』、三には『阿弥陀経』なり。「一論」とは、天親の『往生論』(浄土論)これなり。あるいは、この三経を指して浄土三部経と号すなり。〈中略〉 今はただこれ弥陀の三部なり。故に浄土三部経と名づくなり。弥陀の三部はこれ浄土の正依経なり。」 (法然聖人『選擇集』)
なお、浄土真宗で正依とされるのは、以下のとおりである。
⑴仏説無量寿経 (大経)……二巻(一七四七六字) ・霊鷲山(耆闍崛山)
正依の訳者-曹魏の天竺三蔵・康僧鎧訳 (二五二年)-サマルカンド(ウズベキスタン)
⑵仏説観無量寿経(観経)……一巻 ( 七二五四字) ・王舎城・霊鷲山
正依の訳者-劉宋の畺良耶舍訳・元嘉年間(四四二年)-西域の人
⑶仏説阿弥陀経 (小経)……一巻 ( 一八八二字) ・祇園精舎
正依の訳者-姚秦の三蔵法師・鳩摩羅什訳(四一三年)-亀磁国の人
この三経について、親鸞聖人は、隠顕=「顕彰隠密」(聖典三八一頁)
(1)顕説(三経差別門)の立場
大経-十八願の真実(他力念仏往生)
観経-十九願の方便(自力諸行往生)
小経-二〇願の方便(自力念仏往生)
(2)隠彰(三経一致門)の立場には、2つあって
①一意門-三経とも、最終的には他力念仏を勧めていると観る(いずれも真実)。
➁相成門-それぞれ真実であるが、それぞれに役割(特色)があると観る。
大経-法の真実を顕す
観経-機の真実を顕す
小経-機法合説正誠
を示されている。それらを踏まえた上で、三経の構造や特色についての概観を述べていったが、具体的に本文に入ったわけではないので、皆さん、退屈されたかもしれない。しかし、これから、単なる一方的な講義ではなく、前日の講習会のように、何度も声に出して味わったり、5~6人の小グループで話し合うので、皆さんの興味がつきないような工夫も考えているので、お近くの方は、ぜひ、ご参加してみてください。
なお、遠方の方には、通信講座(有料)も用意している。CDやmp3でのデ゙ータ受信もできるので、ぜひ、ご活用ください。現在、支部によって、多少バラツキがあるのだか、通信を活用されている方も多い。遠く、カリフオルニアでも、通信をしてくださっている方もあるのだ。新年度を機会に、ぜひ、ご一緒に、浄土三部経のお心をお聞かせにあずかりましょう。詳細は、華光会までお問い合わせください。