硯(すずり)
シルクロードへの旅。父への土産は迷った。
子供のころから、母とは違って、父へのプレゼントやお祝いは困ることが多かった。本人も、プレゼントを喜ばないたちで、自分が必要ないものは、「使わないので、あんた使い」と、返ってくることも、しばしばあった。正直といえば正直だけれど、贈った側の気持ちなどお構いなしである。それどころか、プレゼントをして、叱れた思い出まである。まだ小学生のころ、姉と二人で父の日にプレゼントした「のらくろ」の復刻版。子供たちが、戦前生まれの父が懐かしがるであろうと思ったのに、逆効果となった。これは、いまだにぼくの本棚にあって、見かけるたびに苦笑いになる一品。小さかったぼくは、なぜ叱られたのが分からず、いまだに悲しい思い出となっている。
クチャからウルムチの国内線から、関空の国際線へのトランジットで寄った上海に、硯があった。
中国には、書道の達人の父向けに、文房四宝があるので、助かる。以前の中国旅行でも、父は、筆や墨、書や水墨画を買っていた。
ところが、このごろは、教室で教える以外に、筆をもつことも少なくなってきたので、「あまり使うこともていから、あんた使ったらと」と、ぼくのところに戻ってきた。
一度、受け取ってもらたものなので、喜んで使わせてもらうことにした。ぼくの書道道具は、ケースも硯も、小学校3年生に学校で購入したものを、いまでに使っている。硯は、真っ二つに割れたが、割れ方がよくて、透明テープでバッチリ復活している。だいたい物持ちがいいぼくのにしても、最長不倒のひとつである(この身、からだはのぞく)。
というわで、いまだに古いタイプを使っているが、急遽、法名の依頼をうけた。ぼくと同学年の方である。ということで、心込めて、真新しい硯で、法名を書かせてもらうことにした。ご本人は、真宗ではなくて、禅や八聖道に関心をもっておられると聞いていたので、さとりへの道、又はさとりそのものを顕す「道」という文字を入れさせてもらった。我ながら、もう少しうまく書けいないかなと思うが、せいぜい慣れ親しんでいきたいものだなー。
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