なら仏像館
2010年7月から、奈良国立博物館の本館が、「なら仏像館」へとリニューアルされている。この建物自体も、明治期の重要文化財なので、歴史のある重厚な作りである。
もともと寄託も含めてだが、東京、京都、そして九州の国立博物館の中でも、奈良は仏像に特化してもいいと思っていたので、このような形で、素晴らしい仏像の数々が、体系的に展示されているのは、意義深い。前回が、2009年の鑑真和上坐像に感銘した唐招提寺展だったので、http://karimon.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-0a55.html、完全なリニューアル後は初めてだ。
如来、菩薩、明王、天、そして肖像に、神仏習合などに分類されるだけなく、地域(日本、中国や朝鮮)や、大和(奈良)の仏という形で、体系的に分類されている。
面白いと思ったのは、大阪の金剛寺の隆三世明王坐像の圧倒的な姿である。ほんとうは、三尊として拝見されせていただくのが本筋だあろう。
肖像は、このあと訪れる予定の興福寺の南円堂に安置されていた、国宝の六祖像のうち二体が展示されているが、これは九条兼実公の依頼で、復興されたものだそうだが、写実的な容貌は、鎌倉期の特徴なのであろう。また、浄土寺の重文で、東大寺の再建に尽力した、重源上人坐像が、寄託されていた。
この同じ部屋に如来の種々相として、少し変わった阿弥陀如来や釈迦如来像が安置されていた。中でも、裸形の阿弥陀如来には、ちょっと驚いた。一つは、それほど大きくはないが、黒光りするおカラダは、赤ちゃんのようにすべすべで、手足も細く、股間には蓮(?)か何かがほどこされて、なんとも異様な雰囲気。そしてその中央には、重文で、やはり浄土寺の鎌倉期の「阿弥陀如来立像(裸形像)」安置されていた。こちらは2メールトを超えるもので、快慶の作。珍しい裸姿は、布製の服を着て、来迎会の際には、台車に乗せて動かされていたのだそうだ。
そういえば、當麻寺展には、来迎のための菩薩面や、来迎の二十五菩薩像が展示されていたが、その中心には、着飾った阿弥陀様がおられたのかもしれない。とはいっても、裸形像は、なんとも異様な感じで、違った意味で、阿弥陀様のご苦労をとお味わいさせてもらえる気がした。
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