平山郁夫~悠久のシルクロード展~
先日、龍谷大学ミュージアムに、平山郁夫~悠久のシルクロード展~を観賞した。前回同様、姉から招待券をもらったのだ。
来月には、敦煌から新疆ウングル自治区のシルクロード、そのうち、天山北道の聖跡巡拝の旅にでる。はるかローマから中国の古都、西安までいたる遥かな道は、絹などの貿易品だけでなく、文化や知識が往来した道でもある。これは広い意味(地域)でのシルクロードであるが、中国からみた場合、玉門関からの西域の道が、本来はシルクロードと呼ばれる地域である。
このシルク(絹)のロード(道)は、同時にブッダ(仏教)ロードでもある。つまり、インドで生まれた仏教が、中国に伝播するために、なくてはならない重要な役割を果たしているのである。
仏教が伝播するとはどういうことか。一つは、その教えを伝えるためには、法に目覚めた人「僧」がやってくることが必要だ。しかし、それだけでは十分ではない。法としての経典もいる。しかもそれは、インドの言葉から中国の言葉に訳されなければ、理解されない。インドから経典を招来し、それを翻訳した人達が、たとえば鳩摩羅什三蔵に代表される西域の僧侶たちなのである。中国仏教を俯瞰するならば、翻訳仏教だといってもいい。漢文を日本語読みして真似た、日本仏教との相違点である。それだけではない。礼拝の対象としての仏像もまた、この道を通り、ガンダーラ様式から中国の中間にあたる西域独特の仏像があり、それが中国、そして朝鮮半島を経て、日本へともたらされてきたのである。
本展でも、ブッタ釈尊の歩み示す画伯の絵画や仏像と共に、仏教の北方伝播の歩みが、2階では、平山郁夫画伯の絵画を通して、3階では、その平山郁夫画伯が文化財の保全と共に収拾してきたシルクロードゆらいの仏像や工芸品を通して味わうことができた。特に、平山郁夫シルクロード美術館に収蔵品されている仏像を、地域や時代事に体系的にみるにつけ、インドで生まれた仏教が、後に釈尊が禁じていた仏像(礼拝対象)を誕生させて、それが、各時代、各民族、文化の要素と融合して、伝播していく様子が窺える。たとえばギリシャ・ローマのヘレニズムの影響を受けたガンダーラなどの仏像が、西アジアから、西域を経て、それか中国化していく過程は、まさに百聞は一見にしかずである。
あと、金貨などのコインでシルクロードの歴史が綴られる。中でも、仏教庇護につとそたカニショカ王のブッダ金貨は、大英博物館とここにしかない貴重なもの。ギリシャ語で、ブッダと刻まれ、施無畏印のブッダ立像が描かれていて、面白かった。
ぼくにとって、この時期に、この展覧会はかなりタイムリーな好企画。
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