浄土寺~播州の国宝寺院(1)
縁あって、播州の国宝寺院を訪ねるすることになった。
お目当ては、浄土寺で、阿弥陀如来三尊にお会いすることである。
来迎の阿弥陀如来三尊としては、もっとも有名で、何度もテレビや写真集で拝見している。しかも、京都から高速で、1時間強の近場にあるのだか、まだ訪れたことはなかった。
播州の加古川流域には寺院が多いが、国宝寺院も点在している。京都と奈良に仏教美術の国宝や重文が集中しているが(博物館所蔵の東京を除くと)、次いで隣接する近江の国滋賀県、さらに兵庫県が続くそうだ。
まずは、小野市にある極楽山浄土寺へ。
静かな田園風景が広がている。
参道を進むと、鎌倉時代に建立された国宝の浄土堂(阿弥陀堂)が見えてくる。朱と白、そして屋根瓦の黒のコントラストが美しく、上品なたたずまい。
境内は、GM中にかわらず静観で、落ち着いた雰囲気がいい。阿弥陀堂の拝観は、最後の楽しみにして、まずは境内の散策。
鐘楼堂があって、その隣には、八幡神社もある。阿弥陀堂と薬師堂が向かいあうが、その間に神社があるのだ。今日の感覚では不思議な気がするが、廃仏毀釈の以前の神仏習合の形を残しているのだろうか。もともと、東大寺の鎭守の神でもあるのだ。
いまは、真言宗のお寺になっているが、開祖は、東大寺を再建の大事業をなした重源上人である。もともとは、東大寺の別所で、七箇所あった念仏道場のと一つとして起こされている。開山堂には重文の重源上人像があるが、奈良博でお会いした。
薬師堂は重文で、浄土堂と同時期のもので、形もかなり相似的だったが、朱塗りがない分、地味な印象がするが、ここが本堂。
その裏山は、八十八箇所の霊場めぐりのうつしがある。いまは、真言宗になっているので、新しいものだ。重厚なホンモノの中で、このチープさも、また面白い。といっても、これを、現世利益を求めて、いまも信仰されている方もあるのだ。
いよいよ、お目当ての阿弥陀堂へ。浄土堂ともいわれるが、その名称がぴったりである。貴重な、鎌倉期の大仏様の傑作といわれている。
浄土堂、内部。中央は巨大な阿弥陀三尊がまします。外部からは想像もつかないほど、内部の柱や天井の組は、特色があった。しかも、その天井に突き抜けんばかりの巨大さで、阿弥陀様が立っておられる。観音、勢至の二菩薩を引き連れて、来迎するお姿は、快慶の傑作である。(写真はNG)
それにしても、圧倒されるほどの大きさだ。もちろん、プロの写真や撮影されたものを見れば、もっときれいなのかもしれない。(たとえば、この写真 http://www.mapple.net/photos/H0000031078.htm)
でも、この体感は、現地に立たないと、絶対に分からないものである。
これに、裏手から西日が指す姿は、さながらに浄土来迎のようであろう。夏の夕方が、ことに美しいといわれた。またの機会をみて、再訪したいものだ。
もっとも、現世利益同様、来迎もまた、ぼくには用事かなくなっている。いままさに、常に、南無阿弥陀仏がお迎えくださっているのであるから。
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