鶴林寺~播州の国宝寺院(4)
加古川市の刀田山鶴林寺は、聖徳太子ゆかりの古刹で、播磨の法隆寺ともいわれている。以前、聞法旅行で播磨を訪ねた時は、聖徳太子のゆかりの寺として斑鳩寺を訪ね、聖徳殿で聖徳太子御年十六歳の像を、特別に拝観させてもらった。しかし、加古川市まで来たのに教信寺を拝観しただけで、ここは素通りせねばならなかった。
日本各地に、聖徳太子開基の伝承をもつ寺院は多いが、ここは、太子建立七大寺の一つとも言われ、国宝の太子堂(平安時代)を始め、多くの貴重な文化財を有している。
寺の伝承では、創建は崇峻天皇(587年ころ)にまでさかのぼり、聖徳太子が、排仏派の物部氏の迫害から逃れるために、この播磨の地にいた高麗僧・恵便(えべん)のために建立したといわれる。
聖徳太子と播磨は、太子が、推古天皇に法華経を講義したことの功績によって、このあたりの地を得たというのは史実のようだ。しかも、鎌倉、室町の太子信仰が盛んになるにつれて、大寺院となった。しかし、戦国時代にはいって、信長、秀吉などの弾圧によって、往時の勢いは廃れていった。
仁王門抜けると、三重塔が立っている。
国宝の本堂の前には、右に菩提樹、左に沙羅双樹の釈尊ゆかりの聖木が植えられている。本堂にあがると、1ケ月遅れの花祭りの準備中で、花御堂を生花で飾りつける作業をしていた。「明日だった拝観料が無料だったんですよ。お近くなら、またどうぞ」とのお誘いをいただく。
ほとんどの建物が、国宝か、重要文化財だが、やはり国宝の太子堂が、上品で優美な佇まいで、目に引く(下の写真の2枚目)。宝珠をいただいた桧皮葺で、兵庫県内では最古の建造物らしい。
ところで、本堂には本尊の薬師如来三尊がまつられているが、秘仏で50年に一度しか開帳されない。数年前にその開帳があったそうなので、ぼくが、観ることはもうないだろう。
隣には、新しい新薬師堂が立てられていて、薬師如来が安置されている。なんでも、ウィンクする仏像といわれているらしい。でも、写真でも分からないなー。
せっかくなので、別料金を払って、宝物館も拝観したが、重文級の仏像や法具が並び、なかなか見応えがあってよかった。中でも、白鳳時代といわれる、金銅製の聖観音像は、優雅というか流麗の仏さま。なんでも、一度盗難にあった時、「あいたた」と声を出されて、驚いた賊が盗めなかったとの伝説がある。
「あいたた」観音は、ユニークな笑話だか、ここの宝物館には、悲しい歴史(といっても、2000年以降の最近のこと)もある。韓国人の窃盗団に盗難にあったのだ。しかも、犯人は捕まったものの、朝鮮の高麗期の絵画は、そのまま韓国に渡り、返却されていないのである。このあたりは、最近、日韓問で問題になっている対馬の仏像盗難の事件と似ている。その警鐘の意味でも、その経緯が展示されているのが、目を引いた。
詳しくはここを参照
で、聖徳太子さま、どうお考えでしょうか?
ちなみに、盗難文化財をまとめたサイトがあったけれど、神社やお寺は狙いやすいようだ。http://kanagawabunnkaken.web.fc2.com/index.files/topics/tonan.html
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