PCAの本質とは?
1年間輪読してきた、ブライアン・ソーン著の『カール・ロジャーズ』のまとめ。といっても、カール・ロジャーズの生涯と、その理論の部分を読んだだけで、まだ道半ばというところ。今日は、その前半戦のまとめる意味でも、最後に収録されている、わが国を代表するロジーャズ派の第一人者、畠瀬稔先生と、監修者である諸富氏との対談部分を読むことにした。
諸富氏が、畠瀬先生が日米で直接、生に触れたロジャーズの思い出やエピソードを交えながら、その人柄の一端に触れようというものである。その最後に、「ロジャーズのアプローチ、パーソンセンタードの本質とは何でしょうか?」という諸富氏の質問に対して、
「人間関係のパワーの問題について、大転換を行ったことだと思います。」
と、畠瀬先生はズバリ応えておられる。
「心理療法やカウンセリング、教育、福祉、親子、夫婦……ありとあらゆる場面で、一人一人の持つ潜在的な力を最大限に発揮できるようにお互いのパワー(権力)を平等に認める関係を追求したことではないでしょうか。」
まさに、リチャード・ファーソンが、ロジャーズを「静かな革命家」と呼んだところである。
ともすれば、カウンセリングや心理療法、単なる相談室内でのカウンセラーとクライエントといった狭い関係でしか捉えらないロジャーズの功績の本質を、ダイナミックに捉えられるのはさすが。西光先生の書籍のタイトルに沿うのなら、「暮らしの中のカウンセリング」であり、「育ちあう人間関係」を最大限に発揮するために、お互いの権力を平等に認める関係を追求したということになるのかもしれない。
しかも、それが単なる理論にとどまらず、実際のあらゆる場面で実践的に経験されているところにも、ロジャーズのすごさがある。常に、彼は実践家であって、理論家だったのである。
研究会は、4月は総会だが、5月から輪読を再開の予定。真宗カウンセリング研究会の会員なら、どなたでもご参加いただけます。
来年度の予定は、下記の頁を参照ください。
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