『イラン式料理本』
早めにお昼を食べて京都シネマへ。今日はイラン映画。
イランといえば、何かとアメリカからは悪の枢軸国と批判もされておりましたが、映画の世界では、かなりの優等生。さまざまな規制のある中でも、次々と名監督、名作が生まれております。イスラム圏内では例外的に、庶民の生活が映し出されています。
たとえば、昨年のアカデミー賞外国語最優秀作品を受賞した『別離』は、夫婦の別離と、介護問題、そして家族の諸問題をとりあげながら、家政婦とのトラブルを巡るさらなる混乱から、普遍的な人間の心の闇、虚構と真実に迫る名作だった。
で、今日は、異色のドキュメンターといっていい『イラン式料理本』。何かイラン料理のレシピ本みたいな題名ですが、実際、監督の母親、妻、妹、義母に、友人の妻、そしていまは料理はしない100歳の老婆と、さまざまな年齢の女性が、その台所にたって家庭料理を紹介するというもの。といっても、実際は、ただ作るだけでなく、家族や友人が、御馳走を囲む会話するシーンまで捉えられている。
結局は、社会や文化の変化、夫婦の役割の変化を撮られてもので、年代によって、女性の地位、男性との役割が異なったり、イラン社会の生活様式、その変化がリアルに伝わって面白い。伝統的な料理だけでなく、会食の仕方も、現代的な西洋スタイルになったりもするし、モダンなjazzが食事BGMだったりもする。男性社会には代わりはなくて、深夜に友人を大勢連れてきても、黙って妻は料理をしないといけないらしい。と、もう一つ、気付いたことは、ワイワイいいながら、大勢で食卓を囲んでいても、アルコールは一切出て来ないこと。ラマダーン明けの食事の様子なんかも映し出されるように、宗教が生活にそのものとなっている。
結局は、これは食をとおした、家族の物語であって、すべてが終わった最後のナレーションで、若い夫婦と、監督の夫婦のその後に、とてもシビアーな現実が待っているのだが、本編の奥さんの様子を見ていると、けっこうシュールな終わり方になるので、これはちょっと苦笑。
映像が、デジタルで、プロジェクター映像だったのか、フィルム的な重厚さにかけて軽かったのが、残念だけどね。
映画館をあとに、少しだけ買い物。青色の花柄のシャツと、ピンク縞のパーカー、そして桃色のカラージーンズなど購入した。このところ、明るい色目を選ぶ傾向あり。まあ、誕生日前に、ちょうどいいけどね。
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