『ル・コルビュジエの家』
アルゼンチン映画の『ル・コルビュジエの家』というのを観たけれど、これが、すこぶる面白かった。ぼくの中だけで、今年のベスト10に入る1本。でも、間違く、カルト的なので、世間では相手にされないでしょうがね。こんな心理描写がはっきりしていて、しかも皮肉というか、風刺が聞いている点もいい。隣人とのちょっとしたトラブルから、常識の仮面が剥がされていく、心理劇という点では、ロマン・ポランスキー監督の佳作(小作品だけど)『おとなのけんか』に通じる点があった。
上映館の告知によると、、
椅子のデザインで世界的な成功おさめたレオナルドは、ラプラタにあるクルチェット邸に、妻子と共に暮らしている。ある朝大きな音で目を覚ました彼は、隣人がクルチェット邸に向けて、窓を開けるべく、ハンマーで壁に穴をあけている事に気づく…。近代建築の巨匠ル・コルビュジエが南米で唯一設計した個人住宅を舞台に、シュールな笑いに包まれたアート満載ムービー。
とあったが、まず、冒頭にく壁をハンマーで壊すシーン。中から外からの壁の様子を、違うトーンにして見せるの映像が秀逸で、ここから関心させられた。
成功した中産階級セレブ男。一見、仕事も、家庭も順調。家も家具も、友人と会話も洗練されている。ところが、隣人とのちょっとした行き違いから、ノイローゼに近いストレスに。しかも、順調に見えていた仕事も、また家庭も、夫婦関係にしても、子供との関係にしても、けっこう綻びがあったりする、心理描写が抜群なんだなー。もうのっけから、完全に彼に感情移入して、隣人の粗野な振る舞いにイライラ。それしても、トラブルメイカーの隣人の男の強面の強引さがうまかった。
そして、ラストも、まったく予想外の展開で、これも◎。
もちろん、オープン度満載の、本物のル・コルビュジエの家での、ロケが成功の秘訣で、オープンであることと、隠したいという人間の両性が、不思議なんだなー。
参考までに、ル・コルビュジエとは、こんな人。ぼくは、上野にある、西洋美術館しか観たことないけどね。
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