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『トーキョー・ドリフター』

Img_6947  松江哲明監督と、前野健太(マエケン)が組んだ第2弾の映画。『トーキョー ドリフター』の初日。二人の舞台あいさつがある。

 前回が2年前の10年2月。『ライブ・テープ』は、面白い音楽映画で、いまでもCDをよく聞いている。

http://karimon.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/post-a6ff.html

 この2年の間に、世界も、また個人的な身にも、いろいろと変化があった。うーん、そう考えると感慨深いなー。Img_6946

 前回の舞台あいさつは、ほぼ満席だった。寒い中、外に並ぶのは嫌なので、昼の買い物についでに、みなみ会館で整理券をもらいにいく。

 整理番号は、3番。おー、前回も3番だったし、友川かずきの時も3番目だった。偶然とはいえ、3回連続で3番だ。

 時間にみなみ会館へ。

 ところが、これが拍子抜け。誰も並んでいないのだ。どうしたー。この2年で、マエケンもメジャーになってきたと思ってのに、土曜日の初日にしては、中の入りというところだ。

 映画は、2011年5月の夜から日の出まで、東日本大震災後に、ネオンの消えた東京の街を、ギター1本でさすらって、歌い、叫ぶというもの。前回と違うのは、バイクで移動したり、別のカットが挿入されたりしている。

 震災から2ケ月。東京は、節電で暗く、まるで斜陽の地方町のようだ。関西にいるものと、大地震、大津波、そして原発事故の影響を直接受ける東京との温度差はかなりある。見えない放射能の恐怖にしても、節電にしても、先の不透明感、不安感に覆われているのがわかる。

 その中で、声高に叫んだり、正義感をかざしたり、大多数の主張が、どこか安心して聞こえてきたりする。そんな強力なリーダーも求めていくだろう。しかし、そのために抜け落ちることも多くある。

 その夜は、雨が、アスファルトを叩いている。

 その冷たそうな雨の中を、ギター抱えた前野が歌いつづける。

 ドリフターとは、放浪者という意味である。まさに、当てもなく、金もなく、さすらう。3、11以降の日本そのものでもある。そして、その放浪者は、大声でなく、たとえ小さな声でも、自分の声で歌っている。

 たとえ明るくなくても、暗いのも悪くはない。必ず日は登り、朝を迎えるのだと、放浪者の姿と重なり合う…。

 舞台あいさつは30分と短く、饒舌な監督は不満そうだ。前回のようなミニライブはなかった。それでも、小さなロビーが幸いして、二人に声がかけらたてよかった。

 

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