真宗カウンセリング研究会 創立50周年の集い
真宗カウンセリング研究会の「創立50周年の集い」が終わった。
40周年には、西光先生が存命で、2日間に渡り、2つの企画をおこなった。メーンは2日目昼からの信楽峻麿先生と増井武士先生の対談だった。コーディネーターをし、案内文の作製、総合進行と司会に、会場予約等々、皆さんに助けられたとはいえ、ひとりで忙しく動いた。参加者も120名を超えていた。ちょうど連れ合いが骨折した年で、まだ1歳だった上の子を背負って、会場の予約に行ったことが懐かしい。
それから10年。現代表のM先生のご意向もあって、今回は、現会員、旧会員を中心にした会員の交流会を企画して、特に外部講師の講演や対談など、華やかな企画はなかった。50周年記念なので盛大にとの声も上がったが、結局、参加者も前回の1/4程度の30名と身の丈にあったアットホームな企画となった。
それでも、全員が円座を組み、研究会との関わり、50年の抱負、または現況報告や関心などについて一言ずつ発言してもらうだけで、半分の時間を要した。研究会を巣立ち、または、ここに基地としながら、さまざまに、その精神が発展し、広がるさまを目の当たりにし、頼もしく感じさせられた。
研究会は、1961年12月8日、つまり成道会の日に誕生した。ぼくはまだこの世に生を受けていない。どの生を彷徨っていたのか。地獄界か、中有界と考えていたら、なんのことはない、母の胎内に宿っていたのだ。その創設に父も参加している。ということは、母のお腹の中で研究会の誕生のことを間違いなく聞いていたのであろう。そう考えると、少し不思議な気がした。
実際は、大学入学と同時に、研修会に参加した。18歳の5月だった。伏見の法然上人ゆかりの浄土宗の寺が会場だった。龍谷大学の真宗学科に入学して、カウンセリングを学ぶというのが、ぼくの進むべき既製路線だったので、満を持して参加したのだ。しかも参加者の半数が華光会で顔見知りの方だった。しかし、その内容に、正直、失望して、M先生に気をつかってもらいながらも、結局、半分にならないうちに途中で止めてしまった。何が不満だったかというと、要するに、法座の座談会と比べたり、十分に聞きもできないので、自分に過信したり、それでいて、その不満も明確なれのではなく、要は、自分自身が未熟なだけだったのである。未熟なものほど、自分の愚かさは棚上げして(というよりわからないのだなー)、会や集いを断片的にとられて批判するしかできないのである。
要するに、この時は、時機をえていなかったのだ。結局、大学の4年間は、カウンセリングの集いに参加することはなかった。
それが、「詰まらぬと言うは小さな知恵袋」という西光先生の言葉に触発されて、もう1度、研修会に参加する気になったのが、大学院に入学した春のことだった。会場は、今熊野の学生研修センターという、冬にはすきま風が入る古びた木造の建物だった。この時に、今年7月に亡くなった、Iさんからミニカウンセリングを教えいただいた。そこから、龍大に開設されたばかりのカウンセリング課程の一期生となって、その面白さにのめりこむことで、今日まで続いている。ぼくより古い会員はたくさんおられるが、現代も継続している会員となると、いつのまにかM先生の次ぐ、古い一員になっていた。
真カ研は、ある意味、まったく変わることのない雰囲気を保ちながら、50年を経てきた。それは、最大の長所でもあり、最大の短所でもあるのだが、その雰囲気こそが真カ研なのだろう。その大半は、西光先生の引力のようなものがあったが、先生亡きあとも7年の月日がたった。いろいろな人たちに支えながら、また知らず知らずに影響を受け、また影響を与え合いあいながら、今後も、身の丈にあった歩み続けていくことになるのだろう。
今回は、2人の方の研究・実践報告があった。図らずも、「真宗カウンセリング」もしくは、DPAとか、D_pcaと呼ばれる、西光先生が提唱された成果の発展と可能性に関する報告であった。特に、前者の方の発表には、気づきや刺激を受けたことが多々あった。
そして、僕自身も、そろそろ自分の教えていただいこと、学んだきたところ、そして自分のやりたいことを前面にうち出していく時期が来たと思った。大きなことはできなくてもいい、自分の出来る範囲でいいのだ。その前に踏み出す力をいただいた気がした。
そう気付かされたいま、ぼくは、すでに歩み出しているのであろう。
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