法然展(法然~生涯と美術~)
法然上人八百回忌を迎えて、国立京都博物館で、法然~生涯と美術~、いわゆる法然展が開かれている。
法然上人のお心の一端に触れるようで、深い感銘を受けて、軽い興奮状態でいる。
このところの京博や美術館の人気の特別展は、長蛇の列(1時間、2時間は当たり前)で、待つ覚悟せねばならない。中に入っても、頭越しで観ることになる。当然、京都市美術館の親鸞展と合わせて、今回もそのつもりではいた。それで、なるべく団体客が多い午前中は避けて、夜間延長のある金曜日の夕方を狙った。
ところがである。会場について、びっくりした。閑散としているのである。チケット売れ場も入り口も人が並んでいない。といより、誰も人がいないのだ。絶対に無理だろうと止めてた博物館内の駐車場もガラガラだ。
3月、4月に予定されていた知恩院の大遠忌が、東日本大震災の影響で延期となって、大方の団体客はキャンセルになったのだろう。そこに国内旅行も自粛ムード、外国人は激減の状況では、仕方がないことだろうが、とにかく拍子抜けした。「いらっしゃいませ」と、声をかけた警備員に思わず、「空いてますね」と言ったら、苦笑いされていた。
もちろん、鑑賞側としては、こんな有り難いことはない。どの部屋も、10名以下で、ゆったりと鑑賞することができたからだ。入り口で、音声ガイドを購入。竹下景子がナレーションだが、しっかりした監修・解説をついている。
主な展示品が、ここに一部紹介されている。http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/110326/tokubetsu.html
今回は、(1)法然の生涯と思想、(2)法然の報恩と念仏の継承の、大きく2部構成に分かれ、その中が、1部なら、➀「念仏への道」、➁「浄土開宗」、➂「帰依した人々」、➃「念仏信仰の広がり」、➄「専修念仏への批判」と5分類されている。
そしてすべての軸になるのが、法然上人の伝記絵巻の集大成ともいえる、国宝「法然上人絵伝」(京都・知恩院蔵)である。四十八巻に及ぶ壮大な絵巻で、いわゆる四十八巻伝といわれるので、どの部屋も常にこれをもとに、上人のご生涯と、専修念仏の発展のみ跡をたどる構成になっていた。
実は、ぼくは、いまから約30年前の昭和57年に、法然上人の生誕850年を記念した、「知恩院と法然上人絵伝」展を、やはりこの京博の同じ場所で観ている。しかし、まだ二十歳前の学生で、ほんとうの価値も分かっていなかったのだろう。
いまでも、その美術的、芸術的な価値は知らないが、いろいろと感銘を受けた。そのうちのいくつかを思いつくままの述べてみたいが、長くなったので、今夜はここまで終了して、続きは明日以降へ。
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