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『武士の家計簿』

 20日は、MOVIX系の映画館が1000円。時代劇2本とも思ったが、続けるのなら毛色が違う方が気分転換になる。1本目は、静かな人情劇の『武士の家計簿』。続いて、ロックなミュージカルで、ストーリーは極めて陳腐ながら、主演の二人(クリスティーナ・アギレラとシェール)に、舞台が、可憐かつ豪華な『バーレスク』を見た。

Img_3452 『武士の家計簿』は、新書では異例のベストセラー「武士の家計簿『加賀藩御算用者』の幕末維新」を原作(というより原案に近い)の映画化。派手な斬り合いも、大事件(時代は大激動)も起こらないが、ある下級武士の3代に渡る日々の暮らしを通して、親子、夫婦、そして家族の情愛の機微をユーモラスに描いた、いわば人情劇だった。特にラストなんかそうだなー。御算用者(経理係)として、代々にわたり加賀100万石の財政に、刀ではなく、そろばんと筆でかかわっていた、そろばん侍の姿を描いた、時代劇としては異色の素材だ。武士としては、いわば賤しい仕事で見なされながらも、現実は財政を預かる重要な仕事でもある。

 幕末から明治維新の激動の時代。幕末になると、最大の外様大名で、徳川御三家に準ずる加賀藩も、財政状況は緊迫。それぞれの武士も、出世と比例した身分費用(武士の体面を取繕う費用)の高騰で、内実は、借金だらけの貧窮状態。そんな武士の構造的な問題に加えて、(映画では間接的に触れられているが)社会経済の基盤の変化-田舎の農業(米)本位とした体制から、都会の貨幣経済の発展に伴う、旧泰然として身分制度の疲弊も、その背景にあるのだろう。

 また、現代の社会状況にあわせた、不正の内部告白のシーンなども挟まれている。主人公が、職務を真面目に遂行するがあまり、慣例の不正を告発することになり、逆に、城下の金沢から、能登の輪島に左遷の命令が下るシーンがある。このあたり、個人的におかしかった。いまでも、辺境で地の利がないと、輪島の方が言われていたものなー。

 『桜田門外ノ変』前後の物語で、まさに大激動の時代だ。しかし、そんな社会や時代の大うねりも、積極的に参画した武士はむしろ少数派で 実はその大半が、与えられた職務を全うしながら、地道に日々の暮らしを送っていたのであって、日常の武士の生活の暮らしぶりに焦点を当てて、ある意味、淡々と描かれているところが、面白いのだ。結局、この家は、武士の体面をスパッと捨てて、家財道具や家宝を処分し、借金の返済にあてることを決断した。それでも不足分は、日々の倹約生活を実行して、借金返済にあたるという現実的な路線で、健全な体質を目指していくことになるのだが、このあたりも、そろばん侍の面目躍如だ。

 ところで、産婆さんが登場する仲間由紀恵の出産シーン。助産指導に、わが子を取りあけてくださった、あゆみ助産院の左古かず子さんの名前がクレジットされていて、びっくりした。映画では、ほんの1分もないシーンだけれども、しっかり監修や指導つくんだなと感心した。しかも、それがあの左古さんの指導なんだがら、さぞかし、いいお産ができたことでしょう。

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コメント

ブログを拝見したら、丁度読みたいと思ってた本でした!内容を読む限りおもしろそうですね。

武士も実情は大変だったのですね。相当倹約に励んでいたのだと思いました。

確かに、現状を変えたいと思うのなら、自分の古い習慣を変えるべきですね。参考になりました。

投稿: y.y | 2010年12月23日 (木) 09:26

y.yさん、こんばんわ!
しかも、舞台は、加賀藩(石川県)ですからね。金沢の町がきれいでした。浅野川や犀川が出てきます。

投稿: かりもん | 2010年12月24日 (金) 00:34

もう1つの時代劇とは「最後の忠臣蔵」ではないですか?
私は昨日見てきました。
昨夜はテレビでも忠臣蔵をやっていましたが、忠臣蔵は日本人に好まれる題材なのでしょうね。
「南部坂の別れ」のシーンなど、創作であっても胸にくるものがありますが、「仇を仇で返す」のは仏教の精神から外れていますね。
日常生活でも「やられたらやり返す」というのは控えたいと思います。
もう一本「ハリーポッター」を見ましたが、これは第一作から見ているので見たくなるのですが、今のダニエルラドクリフが17歳という設定には無理がありますね。
ストーリー展開と作品の制作が合わないので仕方ありませんが。
梅田ピカデリーは来年早々に閉館されるみたいですね。
昨日も観客が20人ぐらいだから仕方ありませんが。
今日は昼から輪読法話に参ります。
宜しくお願いします。

投稿: 淀川コナン | 2010年12月26日 (日) 08:46

淀川コナンさん、ご名答です。大手シネコンは、月に2回程度ですが、まあ話題作ぐらいは見ますね。
確かに、「やられたらやり返す」のは控えたほうがいいですよね。でも、そうせずにおれないのが、また凡夫の悲しいところでもありますよね。もしかしたら、行動は抑えることができても、悲しいことに、ものすごいものが、ぼくの腹の中にうごめいておりますからね。そこを見せられたら、お恥ずかしいばかりです。

投稿: かりもん | 2010年12月29日 (水) 23:38

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