紅葉の永観堂
華光大会が終わって、華光誌の作業が始まった。布教も続くので、例年、師走17日までは、せわしい日々が続く。
その前に、ライトアップされた紅葉見物。春の桜、秋の紅葉と、ここ3、4年の恒例行事。
法然上人800年大遠忌で、岡崎の金戒光明寺が特別拝観されている。『仏敵』のご旧跡でもあるので、よく訪れいてる。隣にある少し隠れた紅葉の名所でもある真如堂と合わせて拝観しよう
かと思ったが、いずれも4時頃には閉山される。
東山の永観堂へ。京都の有名寺院である、金閣寺、銀閣寺、東寺、それに西本願寺や東本願寺もすべて通称(ご存じですか。西本願寺はやさしいけれど、東はけっこう知られていないな)で、正式(宗教法人)な名前がある。ここも、禅林寺というのが正式名で、3派に分かる西山系の総本山のひとつの浄土宗西山禅林寺派の総本山だ。法然上人を開祖に、証空上人を派祖に頂いているのだか、もともとは真宗密教として平安時代に始まり、永観律師の時代に発展。それが、鎌倉時代になって、平清
盛の弟である頼盛を父に持つ静遍僧都が、法然上人批判のために『選択集』を開いたところ、結局、自分の間違に気づき、法然上人の浄土念仏に帰依。まさに、逆縁転じて順縁とな
ったのである。法然上人の愛弟子である証空上人を迎えて、今日に至っているというのである。
ここには、有名な「永観、おそし」と振り返られたみかえりの阿弥陀様が、ご本尊がある。永観律師が、2月15日(涅槃会だ)の暁に、阿弥陀像のまわりを念仏行道。すると突然、須弥壇の阿弥陀様が先導し行道をはじめられた。永観さんは驚き、呆然と立ちつくしたという。その時、阿弥陀様は左肩越しに振り返り、「永観、おそし」と声をかけられたというのだ。あまりにも有名な伝承。実は仏像に別の意味があるという話を、専門のK先生から聴いたこともあったが、いまはもう忘れた。
5時30分から開場のライトアップなので、30分前には到着したが、平日というのに、すでに長蛇の列だ。チケット売り場までの列は、二重、三重になっている。並んで待っていると、次々と観光バスが入ってくる。この人達はチケット購入がないので、門の前に並んでいる。これは、何時になることかと心配していたが、5時30分と同時に、列は効率よく動きだして、ほとんど止ま
ることなく20分ほどで境内へ。観光客で喧噪としているが、満員電車ほどではない。池にかかる極楽橋(なんかおかしいなー)だけは、かなり混んでいたが、父をの手を引きながらでも、写真もそれなりには写せた。ただし、今夜は、10時から、報道ステーションというテレビ番組の生中継があ
るので、その準備もあって、あちらこちらに機材が点在していたり、たくさんのスタッフが仕事をしていた。
そにれしても見事な紅葉だった。真っ赤なものだけでなく、さまざまな種類の色合いがある。そのグラデーションが美しい。3000本もあるそうだが、やはり池にかかる景色は、水面に写る紅葉が鏡のようにうつり、映えている。きれいだったが、手持ちのカメラでは、夜間はうまく撮れないが、池の中央には鴨もいる。ライトアップも、昨年の高台寺のようなやりすぎ感もなく、自
然でよかった。
それより、父が雑踏の階段や軽く上下する道も、元気に歩けたことがうれしかった。本堂にも上がった。今月のはじめから、ほぼ毎日、ぼくと散歩している効果が出ているようで、三井寺の時とは大違い。
建物の写真は、上から釈迦堂、御影堂(法然上人)、極彩色野建物が阿弥陀堂である。阿弥陀堂では、みかえりの阿弥陀様だけでなく、「当麻曼陀羅」(観経の世界観を表す浄土変相図)も拝ませてもらえた。振り返られたみかえりの阿弥陀様のお顔とは反対側なので、ほとんどの人は素通りだ。曼陀
羅は、証空上人ともかかわりがある。
少しだけゆっくりしていたが、夜も7時になると、かなり参拝客が減ってくるのが、よく分かった。帰りに受付をみると、参詣者もまばらになっていた。この時間になると並ばなくても、普通に入れるようだ。
このあと、河原町三条のイタリアンのお店で、母のお祝いを兼ねて食事。これはまた次に書くが、帰宅して、すぐにテレビをつけたら、単なる生中継ではなく、番組自体をここから放送していた。さっき座っていた茶店の毛氈の床几に座って、古館一郎、安藤忠雄氏が放送していたのが、なんとも不思議な感じだ。
TVの影響があって、今週末の人出は、かなり増えるだろう。
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コメント
かりもん先生、華光大会では有難うございました。
東本願寺(大谷派)の正式名称は昭和56年から真宗本廟となっているのですね。
私も最近知りました。
真宗十派の内の7派で現在報恩講が勤修されているので、昨日は仏光寺と興正寺、東本願寺、木辺派の錦織寺と4ヶ寺報恩講のハシゴをしました。
特に錦織寺は親鸞聖人750回忌だったのと、滋賀県野洲まではなかなか行けないので、興味深くお参りさせて頂きました。
錦織寺のご本尊の阿弥陀様は座像なのですね。
毘沙門天の像があったり少し違和感を覚えましたが、親鸞聖人とのおいわれがあるのですね。
仏光寺派の新門主が女性だったのも知りませんでした。
仏光寺派は歴代門主にも女性がおられるみたいですね。
今日は別の予定が無ければ、残りの福井県の3寺に行きたかったのですが…。
長々と失礼致しました。
投稿: 淀川コナン | 2010年11月28日 (日) 06:19
華光大会では大変御世話になりました。
淀川コナンさんがレスなさっておられますように、錦織寺のご本尊の阿弥陀様は坐像で確か慈覚大師の御作と伝わる御仏像でした。
永観堂は、大分前に聞法旅行で御参りさせて頂きました。今頃は紅葉真っ盛りでしょうね。
投稿: 縄文ボーイ | 2010年11月28日 (日) 11:36
私も華光大会前に永観堂に行ってきました。
なんと、京都(華光会館)に通い始めて15年以上になるというのに、京都の有名な紅葉を見るのは初めてでした。
まあ、山国に住んでいるので、紅葉は自宅のベランダからでも満悦できるのですが、京都の寺院のように、人工的に創りあげられた(自然と人工物との融合)紅葉は、やはり心惹かれる魅力がありますね。もちろん、そこには意図するものがあるのでしょうが・・・
今回は、1週間休みがあったせいもあり、京都観光に華光大会と、京都を腹一杯満悦できました。
こんな事は二度とないだろうなぁ~
投稿: yanke | 2010年11月29日 (月) 00:26
淀川コナンさん>そうなんですか。報恩講巡りですか。華光大会もお参りくださってましたね。興正派も、いまの華園真暢門主のあとは、お嬢様かこ門主になられますよ。当分、先の話ですが。
ところで、大会最終日のご満座のご法話は聞いてもらったかな? わが身にいろいろと付けたり、自我を拡大する方向ではなく、その囲もうとする自己の底を抜いてもらう、それが真宗の聴聞というお話でした。そこでご聴聞いただくのが早道ですね。またお参りください。
縄文ボーイさん>こちらこそ。そうです。京都の阿弥陀仏巡りでした。その時にK先生から説明聞いたのに、すっかり忘れてました。
木辺派の前門様は、天体望遠鏡の反射鏡の権威だっと思います。木辺鏡といって、マニアはあこれがていました。完全に余談。
yankeさん>華光大会、お疲れ様でした。ほんとうにお世話になりました。
そうなんですか。永観堂は、昼間でしたか。まあ、高山のあの景観も見事ですし、ベランダからの眺めはすばらしいだろうな。ぼくは、夏と冬しか知りませんが…。TVも見ましたか?
また来週、お世話になります。
投稿: かりもん | 2010年11月29日 (月) 01:03
「永観 、おそし」そうでした。数年前の聞法旅行でみかえりの阿弥陀様にお会いしましたよね。思い出しました。
その時に、あぁ呼ばれていると心があつくなった、待たせてるなと申し訳なくなり なんまんだぶつ なんまんだぶつ とお念仏させてもらったことが懐かしいです。
だが、今だに、お立ち迎えの阿弥陀様をお待たせしているばばです。
かりもん先生を通してまた呼ばれていることを思い出しました。忘れっぱなしです。 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 とお称名させていただきました。
呼ばせています。呼んでくださる声に会えることがありがたいです。ありがとうがざいました
ありがとうがざいました。
投稿: ばば | 2010年11月29日 (月) 11:04
ばばさん、ありがとう。
そうですね。呼んでくださっているだけでなく、いのちをかけて、わたしのほうに飛び込んで来てくださっているんですものねき。こんな真っ黒な闇だけらの中に、真っ白な純粋な光が、名乗りとなって出て下さるとはね。不思議です。
投稿: かりもん | 2010年11月30日 (火) 01:01
完全に余談と言われた木辺鏡、マニアの主人に話をしたらニコニコ話に乗ってきました(昔は天体ド−ム作ったり素人目にも高価な天体望遠鏡に散財してた主人)
星野鏡っていうのもあるんやよ−、とのことでした。
あ、このコメント自体が全くの余談ですね。
投稿: relax | 2010年11月30日 (火) 21:13
アハハ、余談にこそ反応するものなんです。法話もだいた一緒。余談ついでに、ぼくも、学生時代に、タカハシというメーカーの赤道儀反射鏡を持っていて、天体写真を攝っていました。きっとご主人は、ご存じですよ。
それにしても、誰ひとり、「きれいな紅葉ですね」という素朴な反応がないところが、なんかいいわね。
投稿: かりもん | 2010年12月 1日 (水) 00:17