« 予定変更~これから高山~ | トップページ | 如来様にぶつかれ »

高山法座の前後のこと~訃報と、鹿の衝撃~

 高山支部法座。夜からなので、一仕事すませて、昼過ぎに京都を出発。天気もよくて、やっと初夏の陽気になった。十条駅から近鉄に乗ると、父が、屋上を散歩しているのが、見えた。すっかり元気を取り戻し、医者から、少し歩いたり日にあたったりすることを勧められている。もとに戻るには、もう少し時間がかかるだろうが、かなり意欲的になっているので、少し安心している。

 高山駅では、東海支部の最近の常連お二人のお迎えを受けた。夕食をすませて、法話の準備をしていたら、「先生、会館のTさんから電話です」との呼び出し。相変わらずケイタイをもたないので、めったなことでは(呼び出しの)電話はかかってこない。何か事故か、急病か、それとも誰かが亡くなったか、とにかく緊急の用件で、ロクナことは思い浮かばない。覚悟をしてでると、やはり訃報だった。

 「大阪支部のAさんが亡くなられて、〇〇がお通夜、〇〇が葬儀だそうです」との電話。以前、家族の葬儀を依頼されたことがあったで(その後、遠方なのでお寺さんを紹介した)、今回も依頼なのかと思ったが、違った。家族葬なので、あとの連絡や対応の相談。

 それにしても、意外だった。

 Aさんは、5月の永代経法座に、娘さんやお孫さんに連れられて、ほんとうに久しぶりにお参りくださっていたからだ。孫さんが、おばあゃんの指にかわいいマニキュアをされていたのが、印象的だった。少しお話したが、お体は元気そうで、お参りにきてくださったことが、うれしかった。旧知のお同行さんも、次々と話しかけられて、ニコニコと笑っておられた。

 それからまだ3週間ほどでの訃報。急すぎる。

 だれも、あの時が最後になろうとは想像もしていなかったが、死の縁無量。

 法座も終えて、K T兄弟と、東海二人組と会食。宮川のほとりImg_0870に立つお店で、こんな豪華な 御馳走をいただいて、最終のひだ号に乗り込む。

 ここは本線といっても、単線で、対抗列車の待ち合わせもあるし、これまでも事故が起こっている渓流(景色はいいが)を走ることもあって、4、5分程度の遅れは当たり前。少し前には、信号機Img_0849の故障で30分以上も待たされたこともある。でも、今回は、順調にスタート。1号車の2番が座席。運転席から眺めもいい。わざわざ1番の座席を予約した鉄チャンらしき人たちも、景色を堪能している。すっかり日も長くなったが、さすがに7時をすぎると、暗闇になった。華光誌の編集作業のためにパソコンを開いていたが、下呂駅をすぎてから、少し眠ることにした。3席とも、かなりハリキッて法話したので、お疲れである。

 ウトウトと気持ちよく寝ていたら、突然、ドーンという衝撃があって、目が覚めた。すぐに前のめりになるほどの急ブレーキがかかる。「あーあ、これは後味悪いなー」と、前列からの声。なにかにぶつかったらしい。一瞬、最悪のことが頭をよぎった。しかし、外は暗くて、なにも見えない。列車の下に「何か」を巻き込み、轢いているのだろう。

 「ただいま、鹿と衝撃しました。安全確認のため、車両の緊急点検をおこないます」とのアナウンスがあった。鹿と衝撃(衝突ではないのが不思議)するとは、まったく予想していなかった。しばらく外で作業があって、ゆっくりと列車が動きだしたが、すぐに停車。安全な場所まで進んで、車両の点検が始まった。アナウンスは、同じことの繰り返しのなで、鹿がどうなったのかは伝えられなかった。

 高山線では、鹿との衝撃は、そう珍しくないことらしい。

 結局、20分ほどの遅れで列車は、出発した。わりと順調な作業だったのだろう。それでも、乗り換えの新幹線には間に合わずに、窓口で後発の新幹線の指定券に交換。なぜか、前の指定券にも「列車事故」のハンコが押されて、ホッチスキで指定券が重ねる方式だ。自動改札機も通れずに、直接、職員に渡した。

 それにしも、まったく目に触れていないというのは、なんとも恐ろしいものだ。衝撃で、なんとなく予想はつくのだが、実際、血みどろの遺体を見ることがないと、実感がなくて、ほとんど麻痺している。なんとなくいい気はしないが、自殺か、人身事故でなくてよかったーといちばんに思った。それでいて、同人の訃報にしてもそうなのだが、すぐに人ごとで、平気になる。まったく無慈悲な身なのである。

|

« 予定変更~これから高山~ | トップページ | 如来様にぶつかれ »

法味・随想」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 高山法座の前後のこと~訃報と、鹿の衝撃~:

« 予定変更~これから高山~ | トップページ | 如来様にぶつかれ »