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『ゴールデンスランバー』

 ゴールデンスランバー』は、最近、次々と映画化されている伊坂幸太郎の小説を、人気の堺雅人主演で描く、サスペンス風味の友愛映画?だ。行きつけのカフェに、伊坂幸太郎の小説が並んでいるので、たまにパラパラみるが、まだ読了したものはない。それでも、映画化されるものは見てしまう。少し前に、『アヒルと鴨のコインロッカー』を、昨年は4月に『フィッシュストーリー』(同じく中村監督)、6月に『重力ピエロ』と続いた。正直、いま一つというものもあったが、原作を知らないので、どちらに軍配を挙げればいいのかは分からない。

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 要は、仕組まれた首相暗殺の容疑をかけられた宅配ドライバー(堺雅人)の仙台を舞台にした逃亡劇だが、そのことをきっかけに、学生時代の4人の友情と絆が蘇り、周りの大人たちへの信頼と、温かなつながりが生まれる、まさに「友愛」青春ムービーと名付けたい。

  しかし、リアリティーの面では、ツッコミどころ満載。せっかく、敵役に香川照之を使っているのに、巨大権力の陰謀の迫力や得体のしれなさ、その背景にも迫ることがなくて、その意味でのドキドキ感が期待薄。伏線もあまりに臭いくらいわかりやすくて、その点は、ちょっと白ける。ラストもね、エー、これで終わりという物足りなさが残るかも。でも、肩の凝らない娯楽作として見るのなら飽きることなく楽しめる。

 すごく個人的な好みだけれど、犯人の父(伊東四郎)に、マスコミが押し寄せるシーンでの彼のセリフが良かった。(イメージとしてこんな感じに聞こえた)

 「息子さんを信じたい気持ちはわかりますが…」

 「信じているんじゃない。よく知っているんだ。(リポーターに向かって)お前は誰なんだ。おれの息子のことをどれだけ知っているんだ? 俺は、産まれた時から、おしめを替えて育ててきた。あいつのことはよく知っているんだ。……逃げのびろよ…」

 そうなんだなー。信じる、信じないじゃないんだ。そう、知られているんだなーと。それも、頭の先からお尻の穴の隅々、いや見えないと思っている心のなかのなかまで、知り尽くされていんだ。その上で、信じきってくだされる。なのに、「どうせ分かってもらえない…」といじけているなーと、ぼくなりに親心に触れて、ちょっぴりセンチに…。

 ところで、タイトルの「ゴールデンスランバー」の意味は、黄金(心地よい)の微睡み(まどろみ)という意味がある、ビートルズの最後の作品群のひとつ。 みんながバラバラになったメンバーの心をつなぎ止めようとしたポール・マッカートニーの願いが、映画では、4人のセンチメンタルな友情へとつながってく。

  帰宅し、ビートルズ最後のアルバム『アビイロード』を聞き返す。ラストの楽曲のひとつである、「ゴールデンスランバー」からの終焉への流れ。こんな構成になっていたんだなー。特に最後の4曲がひとつつながりの曲になって、ビートルズの「ジ・エンド」を迎えるんだーと思って、もう一度、この歌詞を見る……(;が滲むなー。

  かつて そこには、懐かしい故郷へと続く道があった
  かつて そこには、懐かしい家へと続く道があった
  おやすみ、愛しい人よ、泣いてはいけない
  僕が子守歌を歌ってあげよう
  心地よいまどろみが、君の瞳を満たす
  微笑みを浮かべて、君はめざめる
  おやすみ、愛しい人よ、泣いてはいけない
  僕が子守歌を歌ってあげよう

  そして、曲は途切れるとこなく、「キャリー・ザット・ウェイト」への続くのだか、このあたりの詳細は、Beatlesを語ると止まらん、manu.さんのページ参照に。

http://manu.moe-nifty.com/manu/2004/12/the_end_of_beat.html

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コメント

この映画のタイトルがBEATLESから来ているのも知っていたけど、この話題の最後でBEATLESの話題になってニヤニヤ。
ゴールデンスランパーの歌詞も好きだし…
と思ってたら、まさか私のブログが紹介されるとは。
ちょっと恥ずかしいけど、とってもうれしい。
これ以上は語りだすととまらんから自粛(笑)

投稿: MANU. | 2010年2月26日 (金) 02:35

To get back home 

Sleep, pretty darling, do not cry 
And I will sing a lullaby

ここのメロディの流れを思い出しました。ドラマティックですよね。

投稿: はらほろひれはれ | 2010年2月26日 (金) 08:40

なんにも語れないけど、単にいいなぁと思って聞いていた曲、もちろん歌詞もろくに知りませんでした。じ~んときます。今日の通勤時の曲はビートルズに決まり!(すぐに影響される・・・)

投稿: relax | 2010年2月27日 (土) 07:19

MANUさん>勝手に引用しゃちいました。時に、かなりマニアックな、アナザー・サイドも面白いものね。

はらほろひれはれさん、ありがとう。ぼくは、
Onec there was a way というところだけでも、ウルウル(;_;)

relaxさん、そうそう、難しい理屈なくてもいいなーという感じがいいじゃないの。そして、私ひとりのためにって聞かせてもらうと、なお一層ね。

投稿: かりもん | 2010年2月27日 (土) 23:43

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