華燭の典
挙式、披露宴当日。
連れ合いの着替えの時間の都合で、親族紹介のかなり前に到着した。
ぼくたちはこんな時、とても便利。導師などではない参列の場合は、冠婚葬祭が黒い布袍ひとつですむ。でも、今回は、媒酌なので、黒衣、輪袈裟、桐袴という指定があった。一応、指定の時間になったが、まだ早いので着替部屋でゆっくり準備していた。係の方が、新郎の名前を呼んで探してられる。ぼくのところにきて、「新郎にお会いになられましたか?」と尋ねられた。今日はまだ会っていない。「そうですか。セットの時間なんですがね」「2時といってられましたよ」という、「そうなんですよ。もう少し探してみます」とちょっと焦っておられる様子で、「私は館内放送を頼みに行きます」と言っている。迷子の呼び出しならぬ、「新郎のお呼び出し」の放送が響く。おお、いきなり目立っている。
スタバーでお茶?。新郎の名誉のために一言。もちろん遅刻ではないのだ。ギリギリまで挙式の準備や打ち合わせに余念がなかったのである。設営、進行を自分たちでやらねばならないので、たいへんである。
その後、バタバタとご両家に挨拶をして、親族紹介や記念写真も、無事にすんで、いよいよ挙式本番へ。
準備や打ち合わせは、昨日、華光会館にて念入りにおこなっているから、心配はない。
立派な荘厳である。
金の蝋燭に赤々と炎が揺れている。なにより、この日のために書かれた悟朗先生の「南無阿弥陀仏」が真ん中で光り輝いてる。
さすがは、O師も落ち着いて、進行・司会をされている。司婚者のM先生の表白、勤行があり、ご法話にも熱がこもる。その中でも触れられたが、先生には、学生時代から新婦にかかわりがあり、華光への導き手として、その後も丁寧に関わっておられただけに、浅からざるご因縁がある。感慨もひとしおのご様子は、愛娘を嫁がす心境ではなかったか。なにより、新郎・新婦の「誓いの言葉」、ああ、しっかりご聴聞されている、成長されたなーと感慨深い。特に、お互いが、相方でも食いころしかねない心の闇をしっかりと見据え、五〇〇生の仇同志(悟朗先生の恒例の贈る言葉-ほんまになー。夫婦って、生まれ死ぬを繰り返す間に仇となり殺し合ってきた間柄だということは、結婚生活の実感である。でも、それがこの度、南無阿弥陀仏に出会うことで、迷いの打ち止めがなされたなら、初めて「おめでとう」ということになるのだ)の二人だが、それを転じて念仏申すための、聴聞のための結婚生活であることを、自分たちの言葉で誓われた。あらかじめ署名を求められていたので、事前に一読していたが、厳粛な雰囲気の中で、二人が声を揃えて読まれると、まったく違ったように聞こえてきて、感動的であった。
すぐに、披露宴会場に移り、来客の皆さんをお迎えする。
披露宴の冒頭で、挨拶とお二人の紹介である。ご法話ならあがらないが、この手のものは苦手で、緊張した。それでも、やはり、お二人の学生時代からの華光とのご縁。お互いが「何故生きるのか」「死んだらどこへ行くのか」という人生の実存的な問いかけをきっかけに、浄土真宗に出会い、しかも、その中で華光とのご縁が生まれ、南無阿弥陀仏の真実をわが身ひとりと喜ぶところまで求めれた。ぼくとお二人とは学生時代からのつきあいである。比較的短いが、10年近くになる。それがすばらしい「誓いの言葉」を語るまでに成長されたのである。その間、切磋琢磨し合う仲間に恵まれ、辛い時は励まし合い、時にケンカしたり、悔しい思いで涙したりしながら求めあってきた、まさに御同朋、御同行のおふたり。それが夫婦の契りを結ばれると思うと、グーッと熱いものが込み上げてきた。お互いがお念仏で結ばれ、心の暗き闇を聞きあい、尊重しあい、成長しよという念仏者同士が夫婦になられるのである。ほんとうに阿弥陀様は、喜んでくたさっているんだろうなーと思うと、涙となってしまった。
このあと、主賓のT先生のご挨拶も、乾杯のM先生のご挨拶も、ちょっとひと連なりのご法話のようで、有り難かったし、なにより、両先生のお話は、面白かった。「すぐ簡単に別れるのだが、別れちゃーいかん。信心が問われます」って…。
その後のスピーチや余興も、新郎の新妻への手紙、新婦の親御さんへのお手紙も、温かく、かつ仏法の縁が感じられる有り難いものが多くて、とても心温まる式だった。
感受性豊かな感性と、創造性の溢れる表現力をもったお二人である。お互いの長所がいっそう発揮されるご夫婦になられることを願ってやまない。あらためて、おめでとうございます。
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コメント
本当にステキですね
念仏者同士のお2人が共に
人生を歩んでいかれるんですね。すばらしい!
おめでとうございます。なんまんだぶつ万歳!
投稿: 蓮華 | 2010年3月 2日 (火) 07:25
蓮華さん、お世話になりました(別件か)。
ほんとうに、念仏者同志だものなー。でも、現実はキビシイーけどね。でも、どこかで通じ合えるからフシギ。
投稿: かりもん | 2010年3月 2日 (火) 20:49