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仏青での信仰体験発表

 仏青大会3日目。今年は、講師の先生の都合で、法話は2席。そのかわりに、数年ぶりに、仏青大会で、信仰体験発表を持つことになった。華光大会のそれとは少し違うところもある。ひとつは、自ら未信だと言っている人であっても、いままでの歩みやいまのところの心境を語ってもらうこと。それと、参加人数がほどよいので、終了後に、全体で分かち合いや質疑の時間をもって、さらに深めたり、共有したりすることができた点だ。

 華光の信仰体験発表は、決して、決意表明でも、「これからも頑張ります」との確認の場でもなく、また日常生活の変化やご利益を語る場でもない。自らの歩みを語ることは、実は、自分自身のことでありながら、何一つ、他力の働きがなければ、仏道を歩むことすらできない我が身を知らされることであり、そこには、さまざまなおかげ、法友や先達のお育てを通して、あらためてその底に流れる、如来さまの大悲のお心に触れていくことにほかならないのだ。

 その意味で、いま、いまのところで聞いていくことも重要だが、一度、その歩みを振り返り、ここまでお育ていただくまでに、どれだけのお手間、どれほどのおかげ、そして如来様の捨ててくださった無量のいのちが結実して、いまのここのわたしがあることに心を馳せさせきただく。そして、まったく小さな自己の思いやこだわり、実感を求める愚かさを破っていただくのである。

 今回は、ほぼ同世代の3名だったが、その歩みはそれぞれ異なる。長年、別の真宗の集いで求めてきた人。友人の紹介をきっかけに、大学生になってから聞き出して人。そして祖母のご縁を契機に、仏の子ども大会から仏青へとつながり、長年聴聞してきた人と、ご縁が異なれば、その道程もそれぞれあって、みな、飾らずにありのままに語ってくれる姿がよかった。決して、遠い遠い、十万億土のおとぎ話ではなく、いま、目の前の、それもまったく同じ世代の凡夫同士が、弥陀の本願を喜び会える不思議は、未信の方や行き詰まりに悩む求道者にとっても、一石を投じるものとなったようだ。

 いろいろと触れたいのだが、ひとつだけに絞ると、最初は、自分の意志というより、尊敬する祖母だったり、分かり合える姉妹だったり、または仲のよい法友などに、憧れ、励まされ、勧められた仏道の歩みは、同時に、「誰かが聴かせてくれるもの」であって、自分ひとりの後生の一大事にはならなかった。それが、何度も何度も、お聞かせに預かり、尊いお念仏のご縁にもあい、厳しいお勧めにも涙したり、時には、その雰囲気に逃げだしたり、または有り難くもなったりというご縁を重ねながらも、しかし長年、聞いても聞いても、ただひとつ、「こころの底から仏様が信じられない」という疑いの堂々巡りの歴史。でも、その末で、ある時、このままでは、絶対にわたしは聞けない、いま聞かねばならないという(なぜその決断があったのか、本人は覚えていない。実はそのきっかけより、その決断をする時こそが、いま、いまの、ここしかないのだろう)、そのたった一度、初めて、他人任せでも、人ごとでもなく、自分ひとりのところで、「聴かせてください」と、先生(それは如来さまにということか)に頭を下げて教えを請うたとき、先生から聴かせていただいたことは、何も特別な言葉ではなく、いつもいつもお聴かせに預かってきた言葉であったのに、それが聞こえて来たときに、自分は、念仏やお救いを掴もうとしかしていない、そんな自分では絶対にわかるはずがない、つまりは、初めて絶対に聞けない自分に出会ったというのだ。(ここは妙だなー。「このままでは絶対に聞けない」から、一歩出たのに、そこで出会ったものが、「絶対に聞けるはずのない自分」なのだからね。でもそこが大違い)。なんと、不思議にも、自分で晴らせたわけではない(第一、自分で晴れるわけがない)のに、「どうしたらいいのか」とか「仏様が信じられない」の疑いが、すっかりなくなっていた不思議があったというのである。そのプロセスが、ぼくには有り難かった。同時に、彼女をして、「聴かせてください」と頭をさげさせた、先手をかけて、わたしに頭をさげ頼みきってくださっている大悲のお心の、なんと深く広いものであろうか。

 ほかにも触れたいことや分級座談会の様子も有り難かったが、仏青大会中に、葬儀の依頼があった。東京講演会の時から、心配していたのだが、さいわい、法座にほとんど影響せずによかった。でも、また明日からがまたたいへんである。

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コメント

勿体ない……絶句です。

娘への思いを書こうとしたのに、読ませてもらって
モードが変わりました。

(昨日は会費も払わずに乱入してすみません。おみ
やげでチャラにしといてください・笑・でごまかし
とこ)

投稿: Moz@涙mode | 2009年10月12日 (月) 23:57

Moz先生、こちらこそ、お出でくだっさてうれしかったです。インタビュー企画があることが伝っていればよかったのにね。それに「置き土産」(これが焼酎のラベル)原酒で濃厚です。楽しみに飲ませてもらいます。
 大人の体験発表以上に、率直な発言が多く、三者三様で有り難かったです(先生をご縁にした方の発表もありましたよ)。特に、この話は、日頃の彼女をみると、ほんとうにごくごく普通のお嬢さんで、有り難くないのに、こんなすごい話を、さらっとしてくれて有り難かったです。
 少し時間ができれば、もろもろ聞いてください。また飲みましょう。

投稿: かりもん | 2009年10月13日 (火) 23:27

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