『半身反義』と祇園祭の鉾
京都シネマへ。ここ3、4年、週末2日間は法座。翌月曜日をOffにして、映画を2本(時に3本)観る生活を送っている。火曜日か木曜日にも、もう1本観ることも多い。
今日は、日本映画を2本見た。『半身反義』と、『ディア・ドクター』。たぶん、皆さんに関心があるのは、『ディア・ドクター』の方だろうから、これは別記事にするとして、まずは脳梗塞で倒れた映像作家、山岸達児の半生をインタビューと、フィクション的なドラマ風で追い掛ける『半身反義』。
彼は、高度成長の日本の象徴であった、『東京オリンピック』(市川崑総監督)や『日本万国博』などの公式記録映画の主力監督(いわばヘッドコーチ格やね)参加し、同時に、最先端で、新たな映画や映像の可能性を探る実験的な試みを発表し、また後輩の育成に尽力した人物だ。最愛の妻に先立たれて、自身も脳梗塞で倒れ、意識は回復したものの半身不随となり、身寄りのいない彼は、いまは特養ホームで生活している。前半は普通のドキュメンタリーだったが、後半は、彼の心象、半生を顕すような、日本の高度成長と、彼の半生をイメージした再現ドラマの展開になっている。うーん、ある種、半分半分の半身がこの作品がウリなんでしょうが、正直、ぼくにはこのドラマ部分が稚拙な感じがしたり、作者の自己満足的な匂いがして、あまり乗れなかった。それは、映画の意図が理解できなかったということになるのかもしれないけど、感性が合わなかったので仕方がない。やは り、華やかな前半生よりも、孤独で、半身付随で、思いのままにならず、ただ死に向かう老病の現実にこそ、真の人間性があらわれて来るので面白いと思った。
高度情報化社会での映像の果した役割と歴史、そしてその可能性は、イメージのもつ無限の豊かさと共に、権力者には、強力な支配の武器になる恐ろしさは感じたけどね。
ところで、映画館は四条烏丸にある、COCON烏丸。この時期、ビルの周りは祇園祭の鉾に囲まれている。7月1日から1ケ月続く祇園祭だが、メーンの山鉾巡行に向けて、鉾や山が組み立てられていた。2年前にも、同じころにブログっているが、今日は、岩田山のそれに出会った。やっぱり、祇園囃子が聞こえ、雅びな雰囲気いいよね。
http://karimon.cocolog-nifty.com/blog/2007/07/post_9f36.html
手近な長刀鉾(上写真)、函谷鉾、月鉾(右写真)、鶏鉾と、船鉾(左写真)などを少し見て回って、例によって、マノ アマノによって、少しだけ映画のことを話しながら、お茶を飲 んだ。
梅雨明け前なのに、暑い一日だったなー。
岩田山は、保育園児の曳き初めだったようだ。
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