『幼獣マメシバ』+『ユアン少年と小さな英雄』~最近みた子犬たち
映画館で予告をみていたら、「ハチ~」と、駅から出てきたリチャード・ギアが言っていた。忠犬ハチ公のハリウッド・リメイク版だ。『ギルバート・グレイプ』、『サイダーハウス・ルール』、そして『ショコラ』と、ラッセ・ハルストレム監督は好きなのだが…。これは、ちょっとご勘弁いただきたいという雰囲気。
でも、何も忠犬ハチ公は、日本だけの話しでないことを、昨日知った。
洋の東西をとわず、忠犬はいるんだなー。
みなみ会館の会員招待で、『ユアン少年と小さな英雄』を見た。
1858年、エディンバラのスコットランド。ジョン・グレイ巡査が、教会墓地に葬られた。彼の飼っていた忠犬は、死去するまでのなんと14年もの間、亡くなった主人を側を離れず、その墓地を守り続けたというのだ。そんなボビーの姿を一目見ようと各地からたくさんの人が集まり、今日でも墓地には花が手向けられ、また渋谷駅の忠犬ハチ公像のように、スカイテリアのボビー像が立って、観光名所のひとつになっているそうだ。(ネットで見つけた銅像の写真を転載したけれど、ちょっと怖い感じだー。映画の犬はかわいかったです)。
映画は、19世紀のスコットランドを舞台に、その忠犬(テリア犬ボビー)の実話をもとに、当時の下層階級に劣悪な社会状況をまじえながら、小犬を通した、ひとりの少年の成長を見守る心温まる物語に仕上がっていた。
地元の警察官ジョン・グレイが飼っているテリア犬、ボビーは、逃走した牛に立ち向かったり、強盗犯との格闘したりと、愛くるしい小さな体ににあわず、勇敢な名犬だ。この犬に愛着を感じたのが、近所に住むユアン少年。母子家庭で育つ彼は、シャイな男の子。貧しくて、学校にはいけず、小さくして過酷な工場勤務を始めるであろう少年に、グレイは書物を与え字を教えた。唯一の友がボビーだ。
ところが、飼い主は若くして病で帰らぬ人となる。ユワンはボビーを引き取ることを託されていたが、ボビーは、エディンバラの教会墓地に眠る主人のそばで暮らすことを望んでいた。だか、教会墓地には、犬を持ち込むことは、法律で禁止されていた。さらに、貧しいユワンの上に、過酷な試練が次々と遅いかかるのだった。おお、このあたりはスコットランド版「男おしん」物語。かわいそすぎるぞ。
彼らは、豊かな資本家が、貧しい労働者を搾取し、さらに下層のひと達は、十分な社会資本の恩恵も、教育の機会も得られず、劣悪な環境の中で生きるしかなかったのだ。そんな資本家や権力者に対して、正義感に燃える神父がひとり立ち上がった。彼は、教会墓地の管理人でもある。彼の説教の合言葉は、なんと「Change」(変革だ!)(=ちなみに、オバマさんより、2005年のこの映画の方がずっと前)。そして、ホビー目当てに訪れる、多くのひとたちに、旧市街の現状を謳えるのだった。当然、守旧派にとって邪魔者のボビーは、あらゆる手を使って排除されようとし、とうとう法律を立てに飼い主不在の野良犬として、処刑されることになるのだった…。
だが、ユエンの機転と勇気によって、思いも寄らぬ強力な助っ人があらわれるのだった。
まあ、こんな感じかなー。要は、「小動物に、子供。過酷な試練と、成長…」、ありふれた人気の出る要素は一応揃えておりますが、それなりに良質でした。
ついでもう1本小犬つながりで、テレビ版もあり、ヒットしている『幼獣マメシバ』。これもみなみ会館で見た。
生まれ育った小さな町から一歩も外に出られず、両親の実家で暮らしている、35歳のオタク、ニート男。ところが、人生なんて半径3キロ以内で事足りると信じ、自分の部屋で、パソコンと、うまい棒に囲まれて生きていることこそが、彼の安心、安全のリアリティーのある世界なのだ。ところが、彼の父親が突然の死亡。しかも、それを機会に、母親までが失踪してしまう。まるで、幼い日の隠れん坊で、鬼に見つけてもらうのを待っているかのように、彼女も居場所のヒントになるハガキがせっせと送ってくる。そして、もうひとつ彼のもとに届けられたとんでせないもの。それが、かわいいマメシバ(豆柴犬)だった。このマメシバに導かれ、親切な友人に出会い、母を訪ねて三千里(?)の人生初の珍道中が始まっていくわけ。
ちょっとご都合主義でもあり、またはステレオタイプで閉じこもり男を描いているようでもあるけれど、かわいいワンちゃんと、彼の存在が、面白いと思えば、これは十分楽しめるでしょうね。ある種、鋭い観察力と、屁理屈の能力は人一倍で、存在そのものがユニーク。でも、あまりにも繊細、あまりにも微妙な人の空気まで読めてしまうんですね。こんなに感じすぎたら、確かに人づきあいはしんどいだろうなー。
もし、大のワンちゃん好き以外の方は、テレ ビ上映された時に、お暇ならご覧ください。わざわざ映画館に行ったり、DVDまで借りなくてもいいかなーと。テレビの題材としては、面白くて、良質と感じたけれど…。あと、大の中年ニート好きの方は、ぜひ映画館で。
おまけ。この子は、先日撮影させてもらったM家の愛犬「願」ちゃん。でも、願ちゃんに「ブログに素顔を載せてもいい?」と、了解を取り忘れたので、後ろ姿のみでゴメンなさい。
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コメント
あれあれ願ちゃん、来客に興奮して「嬉ション」を
親バカですけどね。
しちゃうのでオムツ姿でごめんなさいね。恥ずかし~
顔もなかなかカワイイんですよ
こんなに犬好きになるとは自分自身も思わなかったな。
投稿: 蓮華 | 2009年7月 8日 (水) 08:07
オムツ姿もかわいかったです。
もちろん、この顔がかわいいのだけど、正面の写真がないんだなー。ゴメンネ。
投稿: かりもん | 2009年7月 8日 (水) 12:23