ポカ
1年一度の東海支部の蒲郡法座。
新幹線を利用する法座では、断然、名古屋は近い。37、8分で到着する。
新幹線の座席に座って、法話の教案を調べようと荷物をみたら、ファイルが見当たらない。一瞬、ドキッとした。いやいや、カバンの中じゃなくて、土産用の紙袋に移したんだと思って、棚から紙袋を降ろす。でも、入っていない。もう一度、カバンを確かめてみたが、やはりない。「あ、どうしょうー」。
記憶を蘇らす。
確かに一度はカバンに入れた。それは、ハッキリと覚えている。そうそう、初めての方が参加されるので、その方用に法座案内と、パンフレットも持っていこうと事務所に取りいった。子供大会のチラシなどと一緒に、教案のファイルにいれようと出した。でも、もう一度入れた。ここまではハッキリ覚えている。でも、次ぎに法衣を入れたら、ちょっとグチャグチャになったので、荷物を一端出して、つめ直した。そこもまだ覚えている。でも、そこからが時間が迫ってきて、バタバタしだして、記憶がない。そうそう、荷物のあった部屋に忘れ物はないのを確かめている。そうか、玄関だ。新幹線の中ですぐに出せるように、紙袋の方に入れ直そうとして、ついでに、聞法旅行のチラシのコピーもあったので入れようと戻った。きっとその時じゃないかなー。いや、待てよ、もしてかて……などとハッキリ思いだそとしたが、思いだせない。第一、いくら正確に思い直したとしても、忘れたものはもう戻らない。玄関先だろうが、部屋だろうが、いまはないものはないのだ。
それより、いまの対応だ。どうする? グルグル頭の中がめぐりだす。
電話して、FAXを入れてもらおうかとも思ったが、今日の教案は、信巻の「アジャセ王の廻心」のところを現代語訳で読むのがメーン。量が多い。
M家に、「聖典」はあるから、現代語訳がなくても物語を追い掛けることは出来る。でも、あの訳の言葉がいいのだから、それではちょっと残念な気もする。ほかの教案にするか。いや、M家に、現代語訳『教行信証』があれば、なんの問題もないんだ。でも、あるかなー。F家なら間違いなくある。一応、寺院でもあるので、M家にもあるだろうが、ない時はどうしょう。一応、対策を考えておかんとなー。その場合は、『歎異抄』の第2章にするか。でも、皆で輪読するには、テキストのコピーが必要だし、すぐに、「サークルK」にコピーに走ってもらわないかんなー。いや、やっばり今回は、そちらは無理かー。
もうあると信じよう。現代語訳さえあれば、別に問題はないのだから…。
でも万が一ない場合はー。なにか顔ぶれみながら、別の教案を話そうか。その時は、向こうで考えたらいいか。このところの味わいをまとめてもいいしなー。でも、一応、メーンになる話は、どうする。熊本で話したら、「タネ」の話しでもいい。ああ、あれにするのならネタ振りの小道具もってないなー。
もういろいろと頭がめぐる。
昔、よく父は、法話の枕詞のように、「多忙で、法話が考えらなかった」から、法話が始まっていた。ほんとうに、いつも恒例だった。ぼくも、それを真似たのか、同じことを言っていた時期があった。確かに行事の前にバタバタして、たいへんだったのは事実だが、あるとき、あまりにも毎回だと、皆さんに失礼な気がしてきた。だから、いまは自分の事情などを言い訳にするのは、よほどでない限りはしたくない。まあ、そんなときもあるだろうが、与えてもらった貴重な時間なのだから、たとえうまく考える時間がなくても、うまく組み立てられなくても、「忙しかった」を言い訳にしたり、甘えたりしないで(もっと前から準備をしない、自分に責任があるのだからなー)、そんなときでも、精一杯、お取り次ぎをさせてもらうしかないと、腹を括るようになったのだ。
そう思うと、まあなんとかなるだろうという気がしてきた。そうして、散り散りに考えめぐらすうちに、名古屋駅。それから、同じ時間、在来線に乗るのだが、もうその時は、持ってきた新書を読むことにした。
こんな時、携帯がないのはちょっと不自由だ。到着して、M家でいちばんに尋ねた。「本山からでている、現代語訳『教行信証』ある?」。 「えーと、あると思いますよ。」との返事。おお、希望の光り。一緒に、本棚を覗く。ある、ある! なんと、ソフトカバーに、ハードカバーものもと、2冊も所持されている。聖典シリーズは全部そろっている。さすが、エライぞー。見直しました。
こうして何事もなかったように、ご法話は済んだのでした。
おしまい。
おーい、内容書けよー!
ちなみに、ファイルは、玄関先の下駄箱の上に、しっかり、くっきり残っておられました。法座案内や子供大会のチラシと共に…。
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コメント
先生、ご法話ありがとうございました。
「アジャセ王の廻心」のご法話は、聞かせていただくたびに、胸がいっぱいになり涙が溢れてきます。
前日から参加させていただいたはじめての東海支部法座は、本当に楽しかったです。
お世話してくださったMさんにも感謝です。
投稿: Anne | 2009年6月30日 (火) 22:03
先生、ご多忙の中、そしてムシムシと暑い中、
蒲郡までありがとうございました。
本当は半日だけの支部法座ですが、有志の方の
協力で一日法座になり、また、法友(善友)に
恵まれ前泊組、後泊組と共に楽しい2泊3日の
集いでした。
それにしても先生が新幹線の中でアレコレと
思案していたなんて、笑えました。
我が家の本棚には「仏書」が綺麗に並んでいます
が、手に取って開くなんて事はなかったので、
ちゃんと読んでみます。宝の持ち腐れですね。
先生、皆さん、本当にありがとうございました。
投稿: 蓮華 | 2009年6月30日 (火) 23:19
Anneさん、ありがとう。
支部めぐりいいでしょう。それぞれ個性があっていい。特に、同人宅は余計にそれが顕著で、それぞれ味があります。とくに、ここはご馳走一杯です。
蓮華さん、お世話になりました。
まあ、なんとかなるんですが、これを話そうと考えていたら、やっぱりショックですものね。おかげで助かりました。一年一度の、元徳寺祭り終わりましたね。来年までといわれると、ちょっと寂しい気がしますが…。
投稿: かりもん | 2009年7月 1日 (水) 01:15