『あぁ、結婚生活』+『恋愛上手になるために』(the good night)
『あぁ、結婚生活』 は、大人向けの洒落たラブ・コメディー&後半は殺人計画のミステリーへ。舞台は、40年末、つまり第二次世界大戦が終結した、もっともよき時代のアメリカ。まず、この設定がいい。その白人の、裕福なホワイトカラーが主役。郊外の豪華な屋敷や別荘。自家用車と家電生活。当日の世界中の国が羨望した最先端の生活がここにある。
夫も、妻も、お互いが、自分なしでは、パートナーは生きられないと信じ合っている。しかし、長年連れ添った、同じベッドで眠る(我が家もそうだけど、布団で眠る日本人には、同じWベッドで寝る欧米人が信じられんなー)パートナーの本心までは、実は分からない。その裏では、互いにパートナーに打ち明けられない秘密をもって、涙ぐましい努力と、ユーモラスな生き違いがあるのだ。
ただ、コメディーを薄くしたウッディ・アレン風なテイストって感じなので、この設定なら、もっと面白くてもいいのに、その点は残念。最大のよさは、映画の時代設定と、配役の妙。日頃、堅実な脇役をつとめるクリス・クーパーとパトリシア・クラークソンのベテランの二人が、傍目には幸せそうな熟年夫婦を。そこに、『きみに読む読む物語』のレイチェル・マクアダムスが清楚でありながら、若く男性に尽くす未亡人役で。そこに、夫婦の親友で、007のピアース・ブロスナンがプレーボーイ役でからみ、彼の視点で物語は進んでいく。
ちょっと、ネタばれだけど、右往左往して、結局、もとの鞘に収まる夫婦。あぁ、結婚生活か! なにがいちばん大切って、やっぱ、見て見ぬふりの鈍感力でしょうってか。なんか、身につまされるなー。
『恋愛上手になるために』(原題:The Good Nighe)は、結婚生活ではないが、長年連れ添った同棲カップルの倦怠期の話。めちゃくちゃ邦題のセンスが最低
。原題に意味あるんだもの。まったく男の稚拙な夢想話がメーンだけれれど、なんか
)ぐましくなってきます。
やはり同じベットで眠る前は、「I Love you」 「Me To」とお決まりのことばも、互いに背を向け、不満タラタラの毎日で、完全に醒めきっている。一時の輝きを失い、妥協しながらも、往年の夢が忘れられないミュージシャンと、画廊を営む順調に業績をあげるキャリアの女(グウィネス・パルトロウ)。そして、男が逃げ出したのは、夜見る夢の中。夢で出会った理想の女性(ペネロペ・クリス)との逢瀬に夢中になるのだ。このすばらい夢をコントロールする術を得たい。そのための涙ぐましい努力が始まる。ところが、ある日、その理想の女性が、実在てしいることが分かるのだが…。ほんとどってことないラブコメディーだが、対称的ながら、輝く二人の女性(グウィネス・パルトロウと、ペネロペ・クリス)が魅力的。それに比べて、出てくる男たちの情けなさ度は、かなり高くて、なんか共感しちゃうなー。
『あぁ、結婚生活』には、「知るべきか、知らざるべきか、のぞいてみたい夫婦の事情」なんて見出しついてますが、予告を見るたびに、「隣で寢ているパートナーの気持ちがわかりますか」なんてコメント流れてきて、ゲェー。あなた、そんな知っちゃいけませんよ。どちらの映画も、となりの芝生は青いが、結局は、元の鞘に収まるのが、あなたの幸せよという、欧米版の教訓映画なのだからね。
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