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生きる喜ぶ

 暑い。京都は、7月1日以来、連続して真夏日、しかも35度を超える猛暑日が続く。日差しも、肌に突き刺すほど痛い。それもそのはず、連日、37、38度と、人の平熱の体温を超えているのだ。学校の先生が、「うちの小学校では、37度を超える熱がでた子は、自宅に帰らしますよ」と、あまりの気温の暑さを愚痴っていた。どうやら、子供大会中まで、雨もなく、猛暑が続くようである。

 今日は、朝から夜まで、仏の子供大会の打ち合わせ会である。少し準備が遅れているので、あと数日、集中した作業になる。朝は、役割の打ち合わせし、簡単に昼食を挟んで、昼からは、新人も交えた仏青例会で、法話のリハーサルと、テーマの分かち合い。夜まで簡単な作業をしてもらって、慰労兼ねた会食をした。お疲れさまでした。明日は、熱い中で、追跡ハイキングの下見がある。火曜日、前日の木曜日に、数名集まって、準備会や掃除などの準備をして、本番に備えることになった。

 今年のテーマは、「生きる喜び」である。ありきたりのようで、実はなかなか深いテーマである。「生きる」とは? 「喜び」とは? 人間の欲望、目先の楽しみではなく、ほんとうの意味での「生きる喜び」とは何か?いまのような、絶望的な閉塞感の社会状況では、ニヒリズムや、刹那的な快楽を求めてごまかすしかない。それで、なかなか生きている実感も、生きる意味も、ましてやほんとうの喜びも実感することは難しい。しかし、私が、いかなるありようをしていようとも、まず人間に生まれたことが、なににまして無条件に尊く、それだけで、ほんとうは大きな喜びがあるのだ。しかし、そんなことを声高に語られような状況ではない。ましてや、人間に生を受けことは、迷いを離れる教えに出会える幸せにつながるものなのであるが、実際は、わが煩悩に惑い、刹那刹那の欲望を追いかけ、それを喜びと錯覚しているのが、無明の私の姿である。ますます私も、社会も、その闇が深まるばかりではないか。そんなことを、いろいろと味わい、また分かち合った。

 ところで、子供大会のテーマは、9年ごとに一周している。当日の記録を読んでいると、世相も反映していてなかなか感慨深かった。
 今年、2008(平成20年)年の前は、1999年に、やはり華光会館で、「生きる喜び」をテーマに、仏の子供大会が開かれている。驚いたことに、すでにバブルがはじけ、いまの社会状況と変わらぬ危機的な状況の話題が出ている。たとえば、小学校低学年でも学級崩壊が起こったり、5分間もジットしておれない子供がいること。自殺者が3万人を超えたこと。閉じ籠もりやウツの人が増加している話題。キレやすい社会への危惧などなど、いまの社会状況と変わらぬ姿が反映されている。しかし、一方で、世紀末の危機感はあったものの、ミレニアムの期待もあってか、今日のような格差社会、急激な社会不安を予想すらしていない。まだどこか楽観的だったのだ。個人的には、結婚していたが、まだ子供は生まれていない。

 さらに、もう9年前。1991年(平成2年)はどうか。まさに、バブル幻想の最終章を謳歌している時代である。物質的な世相に批判的な意見が出ているが、まったく危機感はない。華光誌の子供大会の法話特集の横に、「皆さんも、パソコン通信をはじめませんか」とのお知らせが掲載されている。ぼくも、ワープロで、パソコン通信をしていたのだ。なんと、通信速度は、1200dpsにアップしたのを覚えている。その意味では、その後のIT革命の爆発的進行は、驚異的でもある。情報革命が、この世界と個人に与えた影響は計り知れないのだ。個人的には、まだ博士課程に通っていて、独身である。

 そして、さらにもう9年遡る。1983年(昭和58年)はどうか。もう世相のことはあまり覚えていない。ただ、個人的なには、大学生で、その春に信仰にめざめ、それまでと違って気持ちで、ご法話をさせてもらえるようになったことは、鮮明に覚えている。
 最終日、子供たちひとりひとりの背後にある、如来様の大悲のおこころ、本願の尊さに感極まり、嗚咽しながら、このお法りをお伝えせずにはおれなかった。その身にさせてもらった。それは、いまも変わらないのだ。
 確かに、9年事を振り返っただけで、世相は変わり、わが身も、学生時代、働き、独身の時から、結婚もし、そして子供が生またりと、それぞれ環境が変わり、心境も明らかに変わっている。しかし、コロコロと無常変化する世の中にあって、変わらずに喜べるものに出会えた喜びがある。そこが、ほんとうの尊く、生きる喜びの原点と味あわせてもらうのだ。                

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