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バトン

 わが家の女子大生は、今夜も大学の飲み会である。新入生やゼミや研究会やと、学期末ということもあって、なんやかんやとよくある。ぼくは、子供を連れて、お気に入りのお店で、ゆっくりと外食することにした。3人で食事しながら、子供の話をゆっくり聞いた。

 いま、下の子(4歳)が、生まれて初めてといっていいほどの悩みに直面している。「もう保育園に行きたくない」というのである。悩みのタネは、バトンである。バトン? バトントワリングのバトンではなく、運動会リレーのバトンの方である。バトンは受け取る時、手を逆手にして受け取り、そのまま順手で、逆手の相手に渡す。小さいので、右手で受けて、右手で渡すだけである。ところで、彼女は、受ける時は、うまく逆手に出来るが、いざ渡す時に、思わず相手と同じ逆手にして渡そうとする。でも、それでは、バトンの長い方が逆になって、うまくバトンタッチができないのだ。それが、クラスで彼女たったひとり、何度やってもうまくいかないのもだから、先生から、直々に注意をされたというのである。なんでも、「横にでなさい」と、ひとりだけ、列から出ての指導が続いたようで、どうも、このことが、小さな胸にショックだったようだ、

Img_2995  もう寢ても覚めても、「バトン、バトン」で、小さな頭は一杯である。「じゃ、練習しょう」ということになると、ニコニコはじめるが、最初はやはり間違った。ところが、そのうち、うまくできるようになるので、「そう、それでいいんやで。うまいやん」というのだけれImg_2994ど、すぐに、「でも、レナちゃんの時はうまくいかない~」と泣きだのだ。もう、毎日、1時間ごとに、「バトン」「バトン」と、歎いたり、ためいきついたりする。「先生がこわい」ということが、根にあるらしい。「だってな、私、いままでおこらるようなことなんにもしてないもん」。どうやら、指導されたことが、悪いことを叱れているような気持ちになって、「また失敗したら叱られる」という恐怖になっているらしい。そして、「保育園に行きたくない」といったり、「運動会(9月中旬)も欠席する」ということになる。まあ、たまたま週末だったので、「いいよ。じゃ、明日も、明後日も休んだら。でも、いまは、ご飯食べよう」というようなことである。それで、まあ、一応、事実だけを母親から、先生に伝えることになったが、わが子のあまりのしつこさに、家中、ちょっとおもしろいやら、かなりあきれるやらである。というわけで、連れ合いが、ナナの「脳内メーカー」を書いた。(先生の名前は伏せておこうかなー)。それをみて、喜んだ長女も、うまくいった絵を描いて、なかなかの新境地の画風を披露した。うまいネ。

 今日も、歯医者のあと、かなり遅れて保育園に連れて行ったら、園長先生に会った。「エライね、歯医者さんに嫌がらんいったんやね」といわれたので、「実は先生、バトン(おこられるの)が嫌で、喜んで『歯医者に行く』と言うです」と告げると、報告を受けておられた園長も、おもわず苦笑い。そうか。バトンの方が、歯医者さんよりも嫌だとわね。でも、嫌がっているという事実だけを告げるだけで、先生がソフト指導に切り換えてくださり、ここ数日続いたバトンの悩みはひとまず解消した。とうとう、「うまくできるようになった」と、ほめられるようになって、一件落着。自信をもってやると、うまくできることも、萎縮すると、バニックになるようだ。

 大人からみれば、小さな悩みのようで、彼女には、悩みで頭一杯。それは、中身は多少は違っても、悩む構造自体は、大人もまったく同じだよね。第一、このしつこさ、クヨクヨ具合は、どうやら、ぼく譲りなのかもしれんなー。 

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コメント

 ナナちゃんの不安と恐怖が私にも伝わってくるような
お話でしたね 悩み解消できて私もホッと、、、、。
 
私も子供の頃は勿論、老人といわれる歳になっても ―― 「うまくできるようになった」と、ほめられるようになって、一件落着。自信をもってやると、うまくできることも、萎縮すると、バニックになるようだ。―― この通りですね

投稿: saisho | 2008年7月28日 (月) 07:50

saishoさん、ほんと暑いですね。
 それにしても、お孫さんかわいらしいじゃないですか! おじいちゃんになって、なんかお幸せそうてすね。なかなか板についてますよ。

投稿: かりもん | 2008年7月29日 (火) 00:04

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