尊いご縁でした
高山法座でした。
会場ひとつ考えても、よくご法座をもっていただけたと思いました。「こんな時だからこそ、ぜひ開かせていただこう」という、皆さんのお心が尊かったです。
行き、帰りには、火事の現場に寄せてもらったり、お悔やみに窺い共に勤行させてもらいました。おかげで、ぼく自身も、またその役割におていも、気づかせていただくことがありました。
今回のことは、ほとんどが兄弟や親戚などの近しい関係なので、人ごとでなはく、自分の問題として皆さんは捉えておられました。ずいぶん、法座の雰囲気も違ったきがします。
明日も、明後日も当たり前のように無事だと(なんの根拠もないのにね))一寸も疑っていないこの迷い身に、次々と真実、無常の理が迫ってきたことを通じて、今生事ではなく、後生の一大事を心にかけてご聴聞するという原点に立ち帰って、発言される方が多かったです。
でも同時に、どんなことが起こっても、あくまで2人称か、3人称であって、どこかシラーッとした鈍感な自分がいることを味わっておられる方も多かった。
それが同時に、そんな自分を通して、「仏説のまこと」をしみじみと味わい、ほんとうのことを聞かせてもらったことの喜びを語ってくださいました。
たぶん、これが普通の方なら、「こんな災難、不幸が続くのは、先祖の祟りか、墓が悪いのか」と、御祓いにいったり、まじないに走ったり、はたまた妙なツボを買わされたりして、なんとか災難を逃れようと必死になるでしょう。
ところが、突然の事故で、ご主人をなくされた方がおっしゃた。「以前、『私の念仏は空念仏です』と悟朗先生に申したら、『お念仏は空(から)ではありませんよ。あなた自身が空(から)なんです』と言われたんです」と、お念仏されていました。
そう、実は、私こそが虚仮不実。私のこのシャバの生活こそが世間虚仮。迷いの張本人は、墓でも先祖でもなく、この私自身。お互い悪業煩悩の持ち主なんですからね。この苦の世界ではなにが起こるか分かりませんわー。でも,その虚仮不実の私から、真実の南無阿弥陀仏が飛び出してくださる不思議を聞かせていただくんですね。
また、「初めて悟朗先生をお招きした家庭法座で、『この立派な家でも、ご因縁でたまたま結ばれているだけ。だから、マッチ一本ですべて燃え尽きてしまったら、何もなくなります」」と、言われたことを、火事の最中にも思い出した」。そして「それは、まさに、わたしの執着の業の火が燃えているのだ」と、たんたんと味わっておられました。
でも、実際の生活は、ほんとうはそう簡単にいかない。ご家族やご法につながるものも、立派な作品も、生活のあれこれすべてが、一瞬で灰になってしまったのです。いろいろな悲しみや苦しみがあるのも事実でしょう。まさに、凡夫は「つたなく、愚かなもの」なんですね。
でも、そんな身が、一旦、ご厳粛な因果の道理と、そして広大なご法の前に立ち返らされると、凡夫のはからやい悩みなど小さな小さなことで、大きな大きな法界が躍動する如来様のお働きが、なんとこの空の私をお目当てに、いきいきと働き、功徳がこの身にもみちみちてくださっている。そのことを喜ばずにおれない身にさせていただけた。なんと、尊く勿体ないことでしょうか。
今回の二日間、十八願の願文を通して、その一点を共に味わってまいりました。
尊いご縁をありがとうこざいました。
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コメント
本当に尊いご縁でした。ありがとうございました。
「唯除五逆誹謗正法」を詳しくお話して下さり、本当に本当に切ない切ない親さまのお心を聞かせていただきました。
私の口から「お念仏」が出て下さる。本当にもったいない事です。なんまんだぶつ。
投稿: 蓮華 | 2008年3月 4日 (火) 01:08
蓮華さん、ありがとう。ぼくが到着した時も、そしてお別れのときも、蓮華さんも、焼け出され、ここに身を寄せておられた家族の一員として、普通に食事をされていました。ほんとうの身内のようで不思議でしたね。
それにしても、 ほんとうによく開いてくださってと思います。特に、18願に絞ってお話させてもらって、あまり聞法歴のない方には、難しい点があったかもしれませんが、なにか空気みたいなものを感じてもらえたらと思います。
蓮華さんに促された、90歳になった老婆が、「いままで聞き違いをしていました。『唯除五逆誹謗正法』は人ごとで、私には関係ないと思っていました(実際に法を謗っている人)。それが私の姿で、そこがお目当てと聞かせてもらいました」と頭を下げてくださったお姿が、たいへん有り難かったです。
投稿: かりもん | 2008年3月 5日 (水) 20:47