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「そろそろ…」~たまにはニュースに誘われて~

 世界経済の中での日本の存在感の低下に歯止めがきかない。日本人としては気がかりなニュースだ。

 国内総生産(GDP)が円安で目減りしただけでなく、構造的な要因もさまざま指摘されている。お隣の中国(オリンピックもある、映画で見た長江ダムなんてすごいわー)やインド、ロシアなどの台頭と、日本の後退とが同時進行で起きていることもあり、このままの状況がつづくと、もうごく近い将来(3、4年後)、中国の名目GDPが日本を追い抜くことは間違いと言われている。日本の構造改革が遅れてしまうと、いわば「第二の英国病」になりかねないと、将来を不安視する声も大きい。

 年末には、2006年の世界の名目、国内総生産(GDP)に占める日本の割合が9.1%となり、24年ぶりに10%の大台を割り込んだというニュースがあった。一時は、世界の18%も占めていたのに、その半分になったわけだ。一人あたりでも、一時は2位だったのが、さらにその凋落ぶりが目につく。(煩わしいので数字はあげませんが)。

 さっそく今日から開会した通常国会でも、担当大臣の経済演説で、「残念ながら、もはや日本は『経済は一流』と呼ばれる状況ではない」と言及したとのニュースが流れた。経済財政政策を担当する閣僚が、経済分野での国際的な地位の低下を明言するのは異例だそうだ。

大田経財相は演説の中で、「2006年の世界の総所得に占める日本の割合は24年ぶりに10%を割り、1人あたり国内総生産(GDP)は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で18位に低下した」と日本経済の凋落(ちょうらく)ぶりを訴えた。

 厳しい現状分析を披露して国民の危機感を高めることで、国全体が世界に挑戦する気概を取り戻せば、高い経済成長の実現につながるとの思惑があるとみられる。

という内容。

 うーん、でもね、もうそろそろ、右肩上がりでの金、金、金という、これまでの生き方を、真剣に考え直す時ではないでしょうね。1億2千人ほど、小さな国土に、世界の18%もの経済を集めて、このほうがおかしくないのかなー。逆に、ホッとする気もしたね。確かに、いまの経済は厳しい。たいへんな事態になるかもしれない。一方で、いまの自分の暮らしや生活水準も落としたくないのもわかる。だからといって、世界中の富を蓄えて、その金をばらまかないと、相手にしてもらえない国なんて、かなり情けない。しかも、「兎小屋」たら、「エコノミック・アニマル」(妙に懐かしいわー)なんて、小馬鹿にされながら、死に物狂いで頑張ってきたのにね。

 でも、経済だけでなく、日本には、世界に誇るべきこと、胸を張れることがたくさんあるんじゃないのかなー。文化にしても、歴史にしても、日本人の気質にしても、ものづくりや技術にしても…。そして、アメリカでも、ヨーロッパでもない。キリスト教でも、イスラムでもない。このアジアの仏教国、民主的で、平和憲法をもつという中立的な立場での、世界的な役割も、たくさんありそうな気もする。

 ただ、こわいのは、その誇るべきものが、急激に内部から、もしくはその足元から崩れていること。もしくとは、それをつぶそうという動き。日本に生きている人達が、疲れ切っていることのほうが、経済の低下よりも切実に心配かもね。「金、金、金」と浮かれているうちに、みんなギスギスとうるさく、冷たくなりましたよ。ちょっとしたミスや間違いにも怒鳴り、猛抗議。子供から老人まで、みんな疲れ果てて、癒しや安らぎを求め続けています。閉塞感、不信感、わけのわからない不安のみが覆っている。

 日本人の持っていた徳目、勤勉さや慎ましさ、正直さは、どこへ行ってしまったのでしょうかね。

 「国全体が世界に挑戦する気概を取り戻す」なんて、危機感を煽りハッパをかけても、またまた同じ過ちを侵すなら、とんでもないことになりかねない。いまこそ、立ち止まって、これからの世代、さらに次ぎの世代のことも配慮し、世界(地球)の中での私達の生き方を、根本から見直す時期に来ているんじゃないでしょうかー 。ちょっと不自由でも、ちょっと不便でも、また少し貧乏をしても、豊かな、暖かい暮らしがあるような気がします。せっかくの尊いいのちを、ただただすり減らすだけじゃ、あまりにむなしいものなー。

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