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『リトル・チルドレン』

 少し前に観た映画だけれど、書きかけになっていたものを紹介。

Littlechildren_01_2 これはかなり気に入りました。ぼくの中では今年の5本に入りますね

 大人になれきれない大人たち-アダルト・チルドレンを描いた『リトル・チルドレン』

 大人になれないといっても、別に閉じこもっているわけでも、結婚生活が送れないわけでもない。舞台が、アメリカの郊外の住宅街というだけで、充分に社会背景がわかります。経済的(庭付きの一戸建てだね)にも、社会的地位でも、決して、下層社会ではなく、中流の上。でもね、どこかぎこちなく、現状に言い知れぬ虚しさ、不満を懐き、家族がいるのに漠然として孤独に苛まれている。それが、いつしか、定番の不倫に走ったり、歪んだ正義感で、性犯罪者を環視して、逆に回りへの迷惑行為になったり、社会的に成功しているのに、夫婦はすれ違いで、ネットのHサイトにはまったり(妻の不倫や不満に気づかず、社会的地位とは対称に、パンティ被って、ネットでオナニーする姿を、冷たい眼で妻に目撃されるウィンスレットの旦那。添え物でも、心情を描いてもらえず、この扱いは哀れすぎー)、アメリカ病というより、日本も含めた先進国に共通しています。

 ぼくにも、なんか、よーく分かるんですね。ここに登場する人物の気持ちが…。こんな気持ちが分かるほど大人になったのか、それともぼくも、この社会の空気の中で、こころの虚しさと共感するなにかがあるのか…。

 金や経済的地位はあっても、夫は無理解、当然、セックスレス、一人娘は馴染まず、公園仲間のかしましい主婦もバカに見えるサラを、ケイト・ウィンスレット(タイタニックのヒロインね)。キァリア・ウーマン、仕事バリバリの妻(ジャニファー・コネリー)にひけめを感じながら、代わって子育てに励むつつ、司法試験に備える「主夫」ブラッド(パトリック・ウィルソン)。共に、満たされない、ほかの人生があったんじゃないという二人が、当然、親密な関係へ(ケイト・ウィンスットのかなり豊かな肢体が拝めますだー)。これだけなら、よくある不倫ものの定番だけど、そこへ、元性犯罪者のロニーが、町に戻ってきたことから、ブラッドの友人で元警官が、異常なほど過剰反応を示して、過激な環視(とちらがストーカーやね)やいやがらせを繰り返す。とにかく、この犯罪者のロニーの容姿、気色悪さが、すごくうまい! そして、彼を温かく受け入れ、いやがせにも毅然と立ち向かう母親もいい。そして、それらが絡むラストにむけて、ハラハラ、ドキドキ。悲しくも、希望を懐かれるラストは、みんな一気に憑き物が落ちたように、現実に帰っていきます。

 みんな寂しんやね。ほんとは、つながっていたいのに、攻撃や抗議になったり、悪者を環視したりなど、歪んだ形でしか表現できんのですね。経済的、物質的には豊かなのに、不寛容な環視社会、ギスギスした社会状況に生きる現代人が、等身大でうまく表現されています。

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