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ロージャズの面談ビデオ

 今月の月例研究会は、ロージャズの面接ビデオを見た。進行中の面談、ミス・マンとの第17回目のセラピーである。有名なグロリアとの面接は、デモンストレーションなので、映像化され、日本で販売されている唯一のものらしく、貴重だ。畠瀬稔先生を中心に、苦心の翻訳、字幕作業だと聞いている。1本3万円也。高いか、安いか。研究会で購入した。

 最初と、最後の彼自身の解説を含めて、約55分の記録。クライエントの保護のため、撮影時や場所は明かされていない。ただ、ロージャズが、51、2歳頃のことで、この直後、有名な「必要十分条件」の論文を発表される。50年以上前の話だ。 

 かなり、ワクワクしながらビデオ観た。

 なんという集中力だろう。クライエントに寄り添い、沈黙を大切にする態度。セラピストに支えられ、共にクライエントが自己の内面を探求する姿。そして、静かにしっかりと見守り、的確に感情を明確化していく、ロージャズ。彼女の信頼感、安心感が、画面からも伝わって来る。17回目ということで、充分にラポートも出来上がっているのだろう。

 ロージャズとしても、満足のいく面接だったのではないか。

 何分、ぼくには英語力がないので、字幕が頼り。でも、文章を追っていると、眠くなるので、1回目は、ノンバーバルな部分での、彼女の落ちいた姿勢、信頼を寄せ、ほほえむシーン、そしてロージャズの誠実な態度などを味わった。

 最後、分析家からの批判に答える形で、逆転移について釈明する彼の姿。ある種、パーソン・センタード・アプローチの核心のひとつに触れるシーンでもある。たしかに、何かを投影し、カウンセラーに転移させ、またそれを利用して、カウンセラー自身の未解決問題が混ざる逆転移の問題は、実際の面接の場面では、ポイントとなる箇所だ。その意味では、自己の感情に誠実に気づいている必要がある。さもないと、すぐに相手に巻き込まれて、同一化したり、知らぬまに依存関係になったり、男女の場合には、微妙な関係をも含んでしまう。

 一緒に腹を立て、憤っていたらOkの、世間の身の上相談ならともかく、援助的な関係での相談活動は、なかなか難しいものがある。でも、ここでは、ロジャーズは、かなり明確に、彼へのその手の批判に答えていたのが、印象的だった。

 これは、仏法の相談の場合も、考慮する必要がある問題だ。

◎来春にも、真宗カウンセリング研究会の主催で、このビデオの上映会を開く予定なので、関心のある方に、ぜひご覧ください。

◎ビデオの逐語録も、「ロジャーズのカウンセリング(個人セラピー)の実際」(コスモス・ライブラリー)として、630円で販売されている。

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