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イタリア映画祭

イタリアの映画紹介である。京都にイタリア文化会館がある関係もあって、イタリア映画を見る機会が多い。今年は、「日本におけるイタリア2007年」のイベントもあった。イタリアは、もうー度訪れたい魅力的な国だ。南イタリアにも行ってみたいが、、、。

Img_1112  さて、景観論争をよんだ京都駅ビルが完成して、ちょうど10年。もう、すっかり京都の玄関口、観光名所と定着している。今月は、その10周年を記念して、さまざまな催しが持たれているが、その1つが、9月の1ケ月間限定で、「京都駅ビルシネマ」というミニシアターが臨時に出来た。新旧25本ものイタリア関係映画を特集するイタリア映画祭超有名もあり、封切りもあり、京都初上映ありと、さまざなラインナップ。8割は観たことがあったが、映画館での未見を含めて、ここで4本、ほかに1本、今月はイタリア映画を5本観た。

  まずは、『ニュー・シネマ・パラダイス』のジョゼッペ・トルナトーレと、音楽を担当するニンニオ・モリコーネのコンビで、『海の上のピアニスト』(原題The Legned of 1900/1999年・イタリア/アメリカ)。1900年、アメリカに向こう大西洋航路の豪華客船内で拾われ、生涯、海の上を離れることなく、客船と運命を共にして、伝説のまま消え去っていった、ジャズ・ピアニストのファンタジー。30年代のジャズなのに、モダンを超えて、21世紀型のポストモダンに近いのはご愛嬌としても、ストーリーも、泣かせる場面も、ファンタジーとして楽しむ一本。ぼくには、『ニュー・シネマ・パラダイス』にしても、評判ほどの泣かせる名作とは、思えない。あまりに甘すぎるのである。同じコンビの、毛色の違う新作、『題名のない子守唄』に期待しよう。

Sasso_matto  『セッソ・マット(73年・イタリア)は、超ナンセンスな、お色気コメディー。セッソ・マットとは、色情狂という意味。これは、楽しい! いまの目からみたら、もっとシラけるかと思ったけれど、70年代のイタリアのおしゃれなインテリアや雑貨類に、ほどよいお色気も、爆笑のうちに微妙なところで留まっていて、いい。何かには、5話のように、駆け落ちされた(決して美人とは言い難い)女房の蝋人形をつくり、ゴージャスな娼婦にその格好をさせている男、このラストは哀愁漂う一編。8話(おかしなおかしな恋)のように、幼くして別れた兄弟の、なんとも、おかしくも、どこかこころ温まるような、変なメロドラマもある。でも、大方のムードは、未亡人、看護婦、若妻と、肉体派のラウラ・アントネッリ嬢の9種類のお色気コスプレに、ちょいワル、エロおやじを演じるセクシー男優とのコンビで、ばかばかしいほどセクシーで、おバカな物語が続くのだった。悩みごとや嫌なことがあった時は、これを見れば、悩むことがバカバカしくなるという一本。

 『トリノ、24時からの恋人たち』(04年・イタリア)は、イタリアToi1映画発祥の地、トリノの国立映画博物館を舞台にした、ひとりの女をめぐる、対称的な二人の男が紡ぎだす三角関係を描いている。自動車の窃盗を生業に、自由気ままなワルで、おんなたらしで、でもやさしい一面もあるヤサ男と、映画を愛し、外界との関係を持てずに、自分の世界にだけ生きる誠実な男。一人の女性との出会いから、自分の小さな世界を出ることを決意する。さて、彼女の選択は…。数々の名作のオマージューでもあり、また現代の時代のムードも映し出しているけれど、要は、映画のうような恋を描いた映画らしい一本。

 もう1本は、名作中の名作、フェリーニの『道』La Strada54年・イタリア)。イタリア映画を代表する名作のひとつ。これは、さすがだった。哀愁漂うニーノ・ロータの音楽もいい。力わざを武器にした、粗暴な大道芸人のアンソニー・クイン、そして、彼に買われた少し頭が弱い道化役の女を演じるマーシナと、うますぎる。そして、ラスト。トランペットの響きと共に、人生のはかなさ、哀れさが、静かに身に沁みますね。

 駅ビルシネマではないが、今月は、イタリア映画をもう1本『イタリア的、恋愛マニュアル(05年・イタリア)。これ、タイトルでちょっと損しているかもね。確かに、原題もそうだし、ストーリーの中にも、この恋愛マニャアルがキー・ワードになっているけれど、ちょっと考えさせられる大人のロマンティックなラブストーリーです。恋、結婚、子育て、危機、倦怠期、浮気、別離、苦悩、年齢を経ると共に、男女の間の出来事も、一色では語れない。それぞれの業をもって、生きているわけですからね。なにも、20代の色恋だけが、恋愛じゃないわけ。いろいろな段階の4組のカップル、その関係もさまざまが、出会いに、危機に、別れに、復縁にと織りなしてい男女の物語。一応、1話、1話ですが、それぞれ微妙に繋がって、バトンを受けていくのが面白く、恋愛も循環していくように終わるラスト。ちょっとホロッとしました。

 名作あり、新作あり、お色気あり、ファンタジーありと毛色の違う5本だけれど、音楽が素敵という共通項のある5本かもしれませんね。

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