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『スピリチュアル・ネイチャー』

 8月22日、日本のフリージャズの第一人者で、パーカション奏者の富樫雅彦氏の訃報。キャリアの途中、再起不能とまでいわれた事故で、下半身不随の障がいを抱えながらも、ドラマーから独自のパーカッショニストとして、数々の意欲作かある。

  正直、このあたりは、それほど得意ではない。でも、富樫といえば、まずこの『スピリチュアル・ネイチャー』。全5曲の組曲構成での(1曲はスタジオ) ライブ録音。

Img_1087  このタイトルと、このジャケット。もし、これが、2005年録音のCDなら、もう聞く前から音が想像つきますね。今、大ブームの、例のスピリチャアルですよ。そんな人気のへんなカウンセラーもおりますが…。さらに、ネイチャーときて、このジャケット。もう、ヒーリング・ミュージックとか、環境音楽とか、時に、胎教音楽や、α波の音楽なんかもあるけれど、いわゆる、癒し系の分野に並んでいても可笑しくな雰囲気。ピアノやバイオリンなどで、非常にシンプルなメロディーを、モチーフを替えながら反復し、やさしい穏やかなリズムで、優雅に繰り返す癒し系の音楽。

 でも、それを期待していたら、ビックリするかも。

 だって、いまから33年も前の1974年の、フリージャズのコンサート録音。当時は、各ジャズ賞を総なめにした、日本ジャズ史上の名盤としての誉れ高い。富樫雅彦、田中昇、中山正治、豊住芳三郎(perc)、 池田芳夫、翠川敬基(b)、佐藤允彦(p)、flやサックスのブラス陣が、中川昌三、渡辺貞夫、鈴木重男という、かなり豪華な顔ぶれ。

 日本の豊かな自然、田園風景だったりをイメージした組曲。日本的なメロディーも随所にうかがます。でも、ジャズアルバムですから、当然アドリブがある。冒頭の曲「THE BEGINING」の荘厳な静かなイントロから、2曲目の「MOVING」のちょっと室内楽のような趣もあるけれど、過激に 「フリージャズ」に展開していくところもある。

 でも、フリージャズって何? 実のところ、ぼくもさっぱり分かっていない(笑)。普通、想像するのは、アナーキーで、不協和音の連続、メロディーもないハチャメチャな騒音とか、テナーの咆哮ぽい感じなんかでしょう。

 でも、当ライナーノーツに、富樫の言葉が載っている。

 「フリー=自由は、演奏する側よりも聴く側にあるんです。そして、その時点で、奏者と聴衆が一体となって創造し、また想像しうるとき、両者の断絶は取り除かれるはずです。このことは、すべての音楽の形式を問わず、「コミュニケートする」ため一番大切な条件なのではないでしょうか」と。

 おお、難しいぞ。聴く側に委ねられる自由。だから難しいのだよね。いろいろな情報や、経験で、自分に合うテンプレートに照らして聞くことしか出来んものナー。

 で、アルバムのタイトル曲の「SPIRTUAL NATURE」が、やっぱり白眉。アルバムの半分を占める。オープニングはメロディアスなロマンチックな雰囲気から、ベースの力強い反復をバックに、アドリブが続いていきます。中川昌三のフルート、渡辺貞夫のソプラノサックス、そしてチェロと、ますますホットなアドリブが展開して、富樫のダイナミックなソロへ。最後に自然讃歌へと静寂のエンディッグを迎えますが、流行の眠たくなるような癒し系音楽なって、吹っ飛んじゃうのは事実だなー。

 それにしても、彼の音楽は、あまりにもストイックすぎないかなー。でも、この禁欲性、静謐さの美と、エネルギーが解き放たれたような激しさが、ぼくは嫌いじゃない。

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