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『インランド・エンパイア』

 観てきました。リンチワールド。劇場では、「マルホランド・ドライブ」以来、久しぶりです。

 『インランド・エンパイア』 混沌とした180分の長尺でした。

Inlandempire_01_2  強烈にぼかしがはいった男女の密会場面。ウサギ人間たちの映像に涙する女。そして豪邸に優雅に暮らす、女優ニッキー・グレイス(ローラ・ダーン)。彼女の夫は、町の有力者だ。その彼女が、「暗い明日の空の上で」という映画の主役に抜擢され、ハリウッドのスタジオへ。監督(ジェレミー・アイアンズ)、もう一人の主演男優、デヴォン・バーク(ジャスティン・セロウ)。しかし、この映画はお蔵入りしたポーランド映画「47」のリメイク。実は、以前、主役の2人が謎の死を遂げ中止に追い込まれていた。それでも映画の撮影は進められたが、やがて彼女と男優は不倫関係となる。そして、彼女の周りで不可解な事が起き出し、現実と映画、そして幻想の世界が交錯しはじめる.ていく。果たして、現実か、映画か。時には、映画中映画まで交じり、過去が交じり、異国(ポーランド)が交じり、幻想か夢の中か。上流(セレブ)だったり、下流の売春婦だったりと、謎めいた、一種のフィルムノワール的世界が展開していきます。

 丁寧な画像が一転荒れた画像になり、調和的な音楽が不安を掻き立てるノイズ音や爆音になる。特に、中盤になるほど、ストーリーはある種の支離滅裂が高くなる。でも、メチャクチャではなく、どこか繋がっているようでもあり、いやまったくそうでもなかったりで、後のシーンを先で示唆していたり、違う方向から同じものを見せていたり、またはシンメトリーだったりもする。アイティムも、部屋も、番号や記号も、そして登場人物さえも、それぞれがどこかで繋がっているようで、まったく繋がっていないような塩梅。最後まで、謎解きはなく、観客が、それぞれの想像力をかきたてて解釈するしかないのでしょうね。

 マルホ同様、ダンスと音楽が面白かったですね。冒頭のタイトル、そしてラストのエンディングタイトルのダンスのシーンが、とてもCool。マイ・フェイヴァリスト・シンガーの一人、ニーナ・シモンのパワフルな歌声に合せて、長いダンスシーン、ちょっとカッコいいぞ。途中の、ロコモーションに合せたベタな踊りも○。

 好きな人は、メチャクチャ好きでしょうね。でも、詰まらん人には、この3時間はたいへんかもしれない。ぼくなりには、楽しめましたね。でも、1回見ただけでは、解釈的めいたことは語れませんわ。

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