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広島のDPA(2)

講演会のあとは、体験学習会。これがなかなかよかった。同時に、少し変わったところもあった。というのは、かなり参加者が自由に動く集まりでありながら、出入りが激しくて、毎回、毎回、違うメンバー、雰囲気でスタートした。もらろん、広島別院という場所柄や、お寺の集まりの主催ということから、当然、お坊さんや門徒さんが多いが、べつにそればかりでもなく、一般の方もおられる。そんな状況で、深まらないのかというと、1回、1回のセッションが完結しながらも、またどこかで次の集まりに影響を与え、さらにいうと、これまで6回の集いが、なんらかの形で影響している。つまり、継続性と、1回1回の完結性が同居した、その意味では不思議な雰囲気のWSだった。

 こんな双方向の集いを行うと、これまで自分自身がいろいろな経験を積ませていただき、お育てをいただことがひしひしとわかる。一方的に何かを、頭ごなしに教えられたのではなく、自ら実践し、時に失敗も重ねて経験させてもらったことで、先輩たちの態度を学び、その場での態度や姿勢を教えられてきたのである。

 たとえばである。メンバーから、なにか答えを求めて、悩みや苦しみ、もしくはあいまいでモヤモヤとした、漠然とした不安感が語られたとする。 以前のぼくなら、すぐに「正解」を与えたり、適切なアドバスイを考えていた。それが、先生に求められていると信じていたからである。

 別に、感じたところを伝えることが悪いのではない。正解も、指示も必要な場合もある。問題は、その状況に目を向けることなのだ。確かに、答えを即答すると、相手も、また自分自身も、その場ではスッキリと収まる。でも、それはほんとうに一時のことである。もしかすると、それをヒントに問題は解決に向かうかもしれない。しかし、その問題に立ち向かうのは、ぼくではなく、まぎれないその相手自身なのである。そのとき、そのアドバイスが、ほんとうにその問題を抱えている個人の成長に役に立っているのだろうか。ほんとうに、「互いに成長し合う、育ち合う人間関係」なのか? という疑問が起こってきたのである。

 しかも、知らぬ間に、「先生におまかせしておけば、それでOK」という、依存関係、もしくは、そんな困った人を囲い込み関係で満足していくことにもなりかねない。ここはかなり微妙な問題がある。

 だいいち、時には、相手を置いてきぼりにして、ひとりだけで盛り上がったり、相手の不安感やモヤモヤ感に、こちらが刺激されることを、知らず知らずに畏れていて、打ち消すために、答えを与えるケースも出て来る。(特に、法座の示談場面は要注意。相手のモヤモヤがこちらに移ってきて、それが不安な人ほど、強く相手に迫ったり、感情的にぶつけたりしがちになる。一種の逆転移かもしれないね)。

もちろん、これも一概に言えるものではない。あくまでそのとき、そのときの状況や雰囲気が大切である。

 で、いまのところでいうと、このところのぼくは、相手の不安な感じ、モヤモヤした感じ、(相手自身がそうなら、当然、こちら側にも)よくわからない感じを抱えている人と、共に居ることができるなーと思っている。なんの役に立たないかもしれない。相手のところを聴くことも、理解することもできないかもしれない。しかし、そんな不安や苦しみを抱えている人と、共に寄り添って居るだけは出来そうなのである。

  今回も話題になっていたけれども、 そのために、自分自身が、しんどくなりすぎては意味はない。しかし、そのしんどさのほんの一端でも、共に居させてもらうことができたら、それはそれでありがたい。その問題に立ち向かうのは、相手自身であり、そのために、相手を操作したり、影で動かしたりするのではなく、その相手を少しでも理解しようと努める、その姿勢が尊いのである。

 ぼくには、ほんとうに聴くことなど出来ない。真に共感的に理解したり、受容できるのは、阿弥陀様の大悲のお心だけである。でも、その広大な法蔵菩薩の願心に生かされている身は、自身の限界を知り、その虚仮を受け入れると共に、そこに居直らず、大悲のお心を根底に、次の一歩を踏み出していきたいのである。

(3)へ続く

 

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コメント

先日の広島の会ではお世話になりました。
先生方の寛容さに甘えて、好き放題にしゃべり倒していた者です。(;^0^A
その後、私なりにいくつかの答えを出し、覚悟をきめようと腹をくくった所です。
ネットで検索をかけたらこちらに来れましたので、ここでいいのかな・・と思いながらお礼を言わせて下さい。
あの二日間の経験と、今日の分章を読ませていただいてもうひと頑張り と思える自分にも出会えたのだろうと感じています。
ありがとうございました。

投稿: 泉子 | 2007年7月28日 (土) 23:42

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