« 児童手当 | トップページ | 華光誌66-3号完成 »

『2:37』(邦題:「明日、君がいない」)

 5月、6月と、なかなか面白いなー、いいなーと思う映画や、興味深い本に出会って、収穫がありという感じです。でも、行事や話題も多くて、なかなか書き込めじまい。まずは、6月に見た映画あたりから、ボチボチと書いていきましょう。

237poster  オーストラリアの、19歳の青年監督(兼脚本)作品。『明日、君がいない』(原題:2:37)。原題が、謎めいていたけれど、見終わって、「なるほど」ね、意味がある。

 よく出来とりました。

 ほとんど予備知識なかったので、最初から、「あれ?」、ガス・ヴァン・サント監督の『エレファント』によくにているなー。高校を舞台にした悲劇という設定、時間を超えてフラッシュバックを使ったり、複数の視点で同じ場面を何度も見せたりね。また『エレファント』では、何度も流れる雲が登場したように、こちらは、木の葉のざわめきだったりしている。でも、根本的に違うのは、人脈の感情が表にでていること。『エレファント』は、完成度が高く、非常にサトルな部分を拾った、繊細な造りだったのに比べると、情動に訴えるので、かなり見やすいです。

 まず、高校で悲劇がおこる。誰がその悲劇を巻き込まれたのかがわからない。自殺なのか、もしや殺人なのか?、深い悲しみ、苦しみ(徐々にこの悲しみがなにかが分かって来る)を抱え、母にそれを聞いてもらいたいと願いいながら、親の関心は優秀な兄にあり、孤独を抱える少女。仕事一筋のエリートの父親を尊敬しながらも、その重圧が常にのしかかり、完璧主義の厳格な父親の目がいつもある優秀な兄の、屈折した心と行動。身体的な問題からいじめを受けている男の独白では、家族だけは自分にやさしく、手術の時にも親身に世話をしてくれた。だからこそ、家族には心配をかけたくないと、いじめの悩みを打ち明けられずにいる、男の子。人気者のスポーツマンで、かわいい彼女がいるのに、実は内心に秘密をもつマッチョな学生は、弱いものをいじめている。自らゲイをカミングアウトして、除け者にされている男性などなど。6名の高校生の男女が、たとえ表面的に幸せそうでも、内面に深い悩みや苦しみを抱えているさまが、ある種のサスペンス仕立てで描かれています。

 監督の実体験をもとに、ほんの1、2年前の高校生なのに、この世代のもつ不安定さ、残酷さや暴力性、悲しみや孤独感などが、ビビッと伝わってきます。

 

|

« 児童手当 | トップページ | 華光誌66-3号完成 »

映画(アメリカ・その他)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『2:37』(邦題:「明日、君がいない」):

« 児童手当 | トップページ | 華光誌66-3号完成 »