『合唱ができるまで』+2本
珍しく、日曜日なのに、父子共に法座はなし。昨日が輪読法座だったのと、講習会の前週なので、支部法座はお休み。午後には、「仏青例会」がありましたが、家内が参加するので、今日は子供たちと、公園で遊んできました。(仏青の方は、参加者がかなり寂しかったみたいだけどね)。ばっちり気分転換できて、夕方からは、「永代経」と「真宗法座の集い」の案内は、うまく作業できました。
朝、気分がよかったので、モーニングの映画を1本。お彼岸の入りだというのに、今日も寒かった。雨から珍しく雪がチラチラする中を、自転車で5分弱の京都みなみ会館へ。ちょうど予告編が始まるところでした。
『合唱ができるまで』という、フランス映画。まさに、タイトルそのまま。ドキュメンタリ ーなのに、ナレーションも、インタビューも、状況説明も、解説も一切ない。ただ、パリのアマチュア合唱団の練習風景(たぶん、何日分もなんでしょう)のみで構成されている。90分続くと、映像が常に教室のみなので変化が乏しく、少し退屈する場面もあるけれど、そこが逆に効いてくる。
各パートに分かれて練習するのだけれども、幼児・低学年クラス、ティーンエイジャーの女子クラス、本格的なクラス、リタイヤした人達のクラス、そしてストリングスのパートなど、まさに老若男女、さまざまな人達が、練習を繰り返し、バラバラだった声が、グループでまとまり、さらに100名ほどの声と音が、奇跡的に一つになっていく瞬間が捉えられていくんです。
その指導法のユニークさ。からだ全体で躍動してくる。特に、低学年や、リタイヤ組で楽しむだけの素人さんのおじいちゃんたちを相手にするところ。勉強になりました。そうなんですよね。いくらダメな者に、「ダメ」だと言っても、言うだけで直るわけじゃない。本人がハッキリ自覚する必要がある。また、いくら理屈を説明しても、実際の声は出ない。それには、目の前で同じようにやってみせる。繰り返し、それを聴かせ、見せ、具体的になるよう、さまざまにからだを使ってイメージをさせる。その過程がユニーク。だから、ぼくもその練習参加者になった気分にさせられて、一緒に顔を叩いて準備したり、声を出しそうになったりする、いわば参加型の映画。
なによりも参加している子供たちも、お年寄りのも、若い人達も、そして先生も、とてもいい表情をしている。からだ全体で楽しんでいる。まさにホリスッテクな営みを切り取っている。ぼくたちは、同じ場所で、同じものをみていても、それぞれの見方が異なり、また多くの素晴らしいものを見逃しています。それが、カメラを通して、何を見せ、クローズアップしていくのか。どこを切り取っていくのかが明確で、しっかりと見せたいものに焦点が当たっていました。そして、いよいよ本番。教会の行事かなにかで、宗教音楽の合唱が始まる。その風景を背景に、エンディングロールが出てます。徹底している。まさに、「合唱ができるまで」。
ここまで書いて、別のお薦めを書きたくなりました。コーラスつながりで2本。
一昨年封切られた、フラスン映画の『コーラス』。サントラの、澄んだボーイソプラノの歌声を繰り返して聴いています。物語は、問題児が集まる寄宿舎へ、新しい音楽教師が赴任するのだけれど、体罰主義の校長に疑問を懐き、子供たちの心を開くために合唱団を結成するというお話。中でも、学校一の問題児の美声に驚嘆し、やがて子供たちは、歌を通じて純粋な心を取り戻していくのだが………というジーンとくる映画。
あと、スウエーデン映画『歓びを歌にのせて』は、心身共に疲れた世界的な天才指揮者が、故郷のド田舎の町に戻り、教会のアマチュア合唱団を指導することから、名声でも才能でもなく、ほんらいの自分を取り戻す物語。このラストにも、ぼくは弱い。なかなか感動的で好きです。
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