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『密息で身体が変わる』

 ぼくの今年の関心事に、「呼吸法」がある。たまたま、マチャプチャレという自然食のお店のママからお誘いを受けて、インド生まれの呼吸法を体験する機会を得た。今年の4月末の1週間連続で、「ヒーリング・ブレス・WS」に参加。サリーが似合う、南インド出身の女性が、『「禍福は糾える縄の如し」と申しますね』という巧みな日本語の講義と、ヨーガ、そして呼吸法の体験。その後、毎朝20分弱の、「スダルシャンクリヤ呼吸法」を続けている。このことは、また詳しく書くことがあるだろうが、一点だけ、インド生まれというところが気になっている。

 実は、2年間ほど、佐保田式ヨーガを習っていた。その間で、日本生まれの自力整体に出会って、乗り換えたのだ。そのとき、手足が長い、アーリア民族で、しかも、気候(四季ではなく、乾期(冬)と、雨期と、灼熱の夏しかない)も風土も異なるインド生まれのものが、ちょっと日本人には会わない部分もあると聞いて、納得したのだ。これは、仏教でも同じでしょう。インドの気候・風土に近い、南方系仏教と、厳しい自然のチベットや、シルクロードを通り、モンゴリアンの中国や朝鮮半島を経て展開された仏教とは異なっている。日本に入っても、また同様に発達・展開し、「たとえ片州なれども」ぼくたちは、浄土真宗のみのりを聞くことができる。親鸞さまにいわせると「大乗の至極」のみのりなのである。

410603563401  ちょっと横道にそれたけれど、きっと日本人にあった、呼吸法もあるんじゃないかなと思っいたら、おお!ヤッパリありました。『密息で身体が変わる』⒤中村明一著(新潮選書)

 「密息」。なにか、秘密というか、密教の特別の行法のようなのですが、なんのことはない。虚無僧の尺八の中で、受け継がれてきた、近代までの日本人なら、当たり前に身についていた、当たり前すぎて、わざわざ伝承される必要もなく、そのために、急激な西洋化の中で、失われていた、忘れて去られた呼吸法なのだそうだ。

 ぼくたちが、普段、正しいと思っている「腹式呼吸」は、西洋人のように骨盤がしっかりたち、強靱な腹筋が必要なもので、まだ西洋化の生活様式が浅く、しかも、食生活も、体型も急激に変化しながらも、まだその途上にある日本人は、まだ完全にマスター仕切れずにいる。それでいて、伝統的な密息もできずに(生活様式、歩き方、立ち方だって変化しているのですから、からだが変化するのは当然ですね)、大方が、胸式呼吸という、口で浅い息をして、あがりやすく、きれやすい、どちらつかずの過渡期のいる状態だという。

 本書では、本来日本人の体型にあった、骨盤を少し倒して(腰を落し)、腹は吐くときも、吸うときも、やや張り出したまま保ち、どこにも力を入れず、身体を動かすことなくおこなう、深い呼吸を紹介されている。身体は安定し、精神的には集中力が高まり、自由と解放感を得られるというのである。

 おお、これこれ。かなり、関心出てきましたね。写真入りですが、一度体験してみたいですね。

 もうひとつ「あれ」と思ったことがある。ぼくが、小学校の高学年から、夏場に必ず「喘息」に苦しんでいた。そのとき、父が、国嶋療法で教わった、逆の腹式呼吸-つまり、息を吐く時にお腹が膨らみ、吸うときに凹ますというもの。本書でも「逆腹式呼吸」として紹介され、もしそんな息の方は、密息が早くマスターできるそうな。

 本書は、単なる呼吸法にとどまらず、日本人が忘れた、乃至捨ててきた、日本や日本文化のすばらしさを再認識させようという狙いもある。その点は、分かるけれど、記述が、総花的な列挙に留まっている点は、物足りない。

 本書を補うものとして、斎藤 孝著の『身体感覚を取り戻す』(NHKブックス)を、お勧めしたい。これはかなり面白いです。

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