「学び」~あたらしい教科書0~
大学生になってアルバイトを考えたら、父に強く叱られたことがある。「華光の仕事がある」と。結局、その後、ほんの少し大学などで講師をした以外は、社会で働く機会を失った。いま考えると、父にも立場や考えがあったことだが、経験という意味では、不幸な出来事だったのかもしれない。しかも、学生時代、特に大学院に入ってからは、勉強と華光の仕事の両立がたいへんだった。無理だと思って、博士課程への進学は断念した。数年後、西光先生の強いお勧めもあって、博士課程に進んだが、ほとんど研究らしい研究をしなかった。小学校から本が好きで、大学時代も文庫本をよく読んでいたが、このころの10年ほどが、いちばん本を読まなかった。また遊ぶころに羽目を外すこもとなかった。まだ父も若かったが、ぼくも未熟だったし、事務員もいなくて、とにかく事務仕事に追われていた。その上、すこぶる給料も安かった。結婚する前の30歳ぐらいまでは、学校に籍を置き、布教と事務仕事をこなしながら、毎月8万円の給料。もちろん扶養家族だったので、生活が成り立っていた。
それが、40歳を前に、学習意欲が蘇ってきた。ここ5年前は、毎年、右肩で読書量も増えている。地方法座への新幹線の車中が、格好の勉強場所となる。専門的な本は読まないが、携帯しやすい、新書や選書サイズのものが圧倒的に多い。
長い前置きだった。 「学び」~あたらしい教科書0~(あたらしい教科書編集部)は、装丁がかわいい。シリーズの総合案内的な本だ。数学や哲学の学問から、小説や映画の教養、また園芸などの実用趣味まで、多種多様の分野からの専門家の声に、光るものがある。「知識の島が大きくなるほど、不可思議の海岸線が長くなる」という米国の牧師の言葉があるが、たしかに経験を積めば積むほど、蓄積されるものも増えるが、同時に知らないことが増えるのも事実である。自分の小さな無知を知らされるが、ますます学ぶ意欲が出てくる。楽しみながら、学ぶ。ぼくも、そんな年齢になってたきようだ。
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