『プールトで朝食を』
プルートで朝食を(Breakfast on Pluto)て、なんておしゃれなタイトルだろう。
タイトル同様、内容もなかなか個性的。さすが、ニール・ジョーダン監督(脚本も)。この人には、「クライング・ケーム」という傑作がある。観たのは、12、3年前のことだけれど、アイルランドでのIRAの活動が活発が背景にあって、また、ゲイ(おかま)がカギを握るなど、よく似たモチーチが使われることが多いようだ。
いわくつきで、教会の前に捨てられた男の子が、美しき「女性」として成長し、変化の激しいアイルランド・イギリスの社会状勢のなかで、母親探しをする物語だ。暴力が渦巻く世の中に、ユーモアと暖かさが伝わってくる。それに、彼女のファションやディテールもオシャレだし、なによりも70年代の音楽に、キュンとなる。ほんとうは、激しい展開なのだけれど、そこを押さないで、彼女(彼?)同様に細やかな視点で進む。
ネタばれ承知で書くので、観る予定の人は、読まないでね。
彼女の勤める「のぞき部屋」で、父親を認めた神父とのマジックミラー越しの対話。その前にあった、教会での告解室でのシーンの逆バージョン。まさに、現代の懺悔室で、牧師が(ファーザー)が、ほんとうの「ファーザー」になるシーンから、「母親を探して行って、父親に出会った」とのセリフで、ふたりが朝食をとるシーンには、プチジーンとなった。
実際のプルート=冥王星は、太陽系の惑星から格下げの憂き目にあう瀬戸際だけれど、どうなるのでしょうか? せっかく、野尻抱影氏による、言い得て妙の和名なのにね。(これでも、ぼく高校時代に、地学部の天文班に所属しておりました)
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