マンゴーの香り
今日、沖縄の華光の同人から、会費と一緒に、荷物が届いた。沖縄で、布教の前線にたたれている方で、ぼくが小さなころに、華光会館に下宿しながら、聞法されていた。子供のころは、旧華光会館には、たくさん人が同居されていた。貧しかったので、間貸しをしていたのだ。記憶にあるだけでも、家族世帯が3世帯。単身や学生さんが、4名はおられた。最初のころは、道場を間仕切りしていて、もっとたくさんの学生さんがおられた。なかには、ここで仕事をされている方もあり、ミシンの音が耳に残っている。共同炊事に、共同トイレに、風呂はなし。今日のような暑い日は、いちばん奥に住む奥さんが、トイレで行水をされていた。いろいろなことがあったのだろう。あまりに幼くて、親のほんとうの苦労は知らないで育ったが、いま思うと、20代で、束ねをしていた母の苦労は並大抵のものではなかっただろう。さらに、別途、いろいろな人が、短期、長期に、お手伝いをしながら、聞法のために居住されておられた。ほんとうにいろいろな人が、行き来された。そうしながら、華光会館の建設費の借金の返済にあてられた。あとは、文化教室も盛んで、会館が維持されていた。いまのように、賽銭も集めず、同人会組織もなく、本業の布教活動は、自発的な懇志で支えられた、無報酬ではないにしろ、かなり苦しかったことは確かだ。
なかでも、この沖縄の女性のことはよく覚えているひとり。ご縁が遠のいていたが、ぼくが、本山のビハーラ養成講座で、真宗カウンセリングの講師を勤めたことがご縁で、少し交流させてもらうようになった。お礼のお電話をしてお声を聞くと、40年前に戻っていくようだ。ニコニコ笑いながらホウキをもっておられた姿や、なくなった叔母とのやりとり、ぜんざい好きの思い出などが、懐かしく蘇る。還暦を迎えられたそうだが、いつまでも若々しい「クラちゃんですね」と言うと、いや、「クラゲ、クラゲ」と呼ばれていたよ、と切り返されてしまった。そのことは、すっかり忘れていた。
荷物の蓋をあけると、マンゴーの甘ったるい芳醇な香りが、ひろがった。そのせいか、今日はセンチになりすぎだね。
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